第880回
たくさんの貧乏人より少数の金持ちを狙え!

引越の仕事を始めた当初、
私は仕事をたくさん取りたいがために、
他社との相見積もりになったり、
お客さんから値引きの要請があった場合、
自社の利益を削って値引きをしていました。

ただ、しばらくして気付いたのは
日本人でも中国人でも欧米人でも、
おカネをきちんと払ってもらえなかったり、
理不尽な要求を突きつけられたり、
というトラブルが発生するのは、
ほとんどが利益を削って値引きをして、
無理して取ったお客さんである、ということでした。

当社にとっては、ただでさえ薄い利益なのに、
トラブル処理で膨大な時間と労力がかかったり、
金銭的な損失が出たりするわけですから、
もう踏んだり蹴ったりです。

その後、当社では基本的に値引きはしないことにしました。
それは「当社のサービスには価格以上の価値がある」
と確信していますし、
「同じサービスを提供しているのに、
お客さんによって値段が違うのは理不尽である」
ということもあるのですが、
最大の理由は「客筋を良くするため」です。

おかげさまで、大幅な値引きを迫るお客さんを
お断わりするようになってから、
当社ではそうしたトラブルがほとんどなくなりました。

私の金持ちの知り合いには、
品性が下劣な成金もいるにはいますが、
ほとんどの人が払うべきおカネはきちんと払いますし、
理不尽な要求をすることもありません。

そのせいか、北京のレストランなどで
店側に理不尽な要求を突きつけるクレーマーを見かけるのも、
高級店より大衆店の方が多いように思います。

今後、巨大市場になりつつある中国で
消費者向けのビジネスを
始めようとされている方も多いと思います。

その場合は、たくさんの貧乏人を相手にするよりも、
少数のお行儀の良い金持ちをターゲットにした方が、
トラブルに陥る可能性が減り、
最終的にはビジネスが成功する確率も高まるのではないか
と私は思います。


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2008年6月4日(水)

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