第902回
中国が民主化する条件

世界の民主主義の総本山・アメリカも、
民主主義がうまく機能しているようには見えません。
大統領予備選挙のニュースを見ていても、
最終的には「私ならあなたのポケットに
たくさんのおカネを入れてあげられますよ」
というアピールをうまくできた人が当選しているようです。

そのアメリカは中国に対して常に民主化を要求しています。
しかし、アメリカもバカではないので、
1人当たりのGDPが4万米ドルを超えている
自国でさえうまく機能しない民主主義システムが、
1人当たりのGDPが2千米ドルを超えたばかりの
中国で機能するわけがないことは、
十分承知しているはずです。

アメリカには世界の民主主義の総本山という立場もありますし、
何かの間違いで中国に天安門事件の時のような
民主化の嵐が再び吹き始めれば中国は大混乱に陥り、
もう暫くはアメリカが世界の盟主として君臨し続けられる、
という思惑もあるのでしょう。

もちろん、民主主義にも利点はあります。
民主主義により樹立された政権は、
絶対的な権力ではありませんので、
腐敗の防止には大きな効果があります。

中国の場合も、中国共産党の
一党独裁体制自体に問題があるのではなくて、
一党独裁体制により与えられた権力を現金化しようとする
中国共産党内部の腐敗分子に問題があるのだと思います。

バーナードショー曰く
「民主主義とは腐敗した少数の権力者を任命する代わりに、
無能な多数者が選挙によって無能な人を選出することである」。
名言です。

どちらにしても、中国は今後、
中国共産党の自浄機能が働いて腐敗がなくなれば、
という前提ではありますが、
一党独裁体制の下で経済発展を続け
世界一の経済大国になることが予想されます。

そして、1人当たりのGDPが5千米ドルを超え、
高等教育を受けた国民も増え、
民主化をしても、国家が混乱に陥って
破滅してしまうようなことは起きない、
という状態になって初めて、
独裁政党としての中国共産党はその役割を終え、
中国は民主主義国家への第一歩を
踏み出すことになるのではないでしょうか。


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2008年7月25日(金)

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