第911回
ここは北京なんだから中国語で話しなさいよ

先日、北京市内のスーパーで買い物をしていたところ、
突然、欧米人の老婦人に呼び止められ
「Can you speak English ?」と訊かれました。

北京に来てからというもの、
英語を話す機会がほとんどありませんので、
私の英語力はボロボロに落ちているのですが、
がんばって「Yes I can」と答えてみました。

するとその老婦人は
「私はインドのナンみたいなパンが買いたいの。
だけど、この店の人たちは誰一人英語がわからないから
話が通じなくて困ってるの。
あんた、この店にナンみたいなパンを置いてないか訊いてくれる」
というようなことを早口の英語でまくし立てました。

そこで私が慣れない英中通訳をした結果、
その「ナンみたいなパン」は見つかり、
老婦人はそれを買って帰りました。

その後、自分の買い物の会計を済ませる時に
レジの女性と話したのですが、彼女は中国語で
「あんなの英語で言われても私わかんないわよ。
ここは北京なんだから中国語で話しなさいよねぇ」
と言っていました。

さて、欧米人の老婦人と中国人のレジの女性、
どちらの言い分が正しいのか。

私は中国人のレジの女性の言い分が正しいと思います。
欧米人は世界中どこに行っても
「英語が通じて当然」と思っている節があります。
件の老婦人が中国語を話せないのは仕方のないことですが、
北京で買い物をするからには
中国語を話す努力ぐらいはしてほしいものだと思います。
人の国に来て「あんたたち英語ぐらいわかりなさいよ」
という態度をとるのは、
勘違いも甚だしいのではないでしょうか。

一方の日本人は何年も英語の勉強をしてきたのに話せない、
という英語コンプレックスを持っている人が多いためか、
欧米人に英語でまくし立てられると
「Sorry, I can't speak English」などと
謝ってしまう人が多いと思います。

しかし、冷静に考えてみれば、
日本に来たのに英語でまくし立てる方が悪いわけであって、
全然「Sorry」じゃないんです。

今度そういう欧米人に会ったら、
北京のレジの女性のように毅然とした態度で
「何をおっしゃっているのかかわかりません。
ここは日本なんだから日本語で話してください」
と日本語で答えてあげればよいのではないでしょうか。

その代わり外国に行ったら、
その国の言葉で話す努力をしましょうね。


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2008年8月15日(金)

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