第923回
中国で稼いでアメリカで使おう!

私が現在持っている資産はそのほどんどが人民元ですし、
収入もほとんどが人民元建てです。
このため、人民元の為替レートがどんどん高くなるのは
良いことだと思っていたのですが、
最近、中国に住んで中国で消費をしている限りは、
人民元高のメリットを全く享受できないことに
いまさらながら気付いてしまいました。

やはり今後は、中国で稼いだ人民元を
どんどん弱くなる米ドルに換えて、
アメリカで消費をするべきなのかもしれません。

そう言われてみれば最近北京の街で
「塞班自由行(さいばんずーよーしん、サイパン自由旅行)」とか、
「関島暇日(ぐあんだおじゃーりー、グアムの休日)」
などといった米ドルが使えるリゾート地への旅行の宣伝を
よく見かけるようになりました。
北京からサイパンまでは直行便も飛んでいるようです。

こうした旅行に行く中国の人たちは、
普段は中国国内で一生懸命働いて強い人民元を稼ぎ、
休暇には稼いだ人民元を弱い米ドルに換えて、
サイパンやグアムなどで思い切り散財するのでしょう。

今後人民元高が進めば中国人観光客がさらに足を伸ばして
夏威夷(しゃーうぇいいー、ハワイ)に大挙して押し寄せ、
散財を始めることも考えられます。

そうなれば、ハワイの上得意は日本人から中国人に取って代わられ、
「日本円でどうぞ」という看板が
「歓迎人民幣(ほぁんいんれんみんびー、人民元歓迎)」に
かけ変えられてしまうかもしれません。

この現象はここ10年で香港に起こった変化と同じです。
日本のバブル経済期、香港の上得意は日本人であり、
街中に日本語の看板が掲げられていました。
しかし、日本のバブル崩壊後、香港の上得意は
日本人から高度経済成長に沸く大陸からの観光客に代わり、
看板も日本語より大陸の
簡体字(じぇんてぃーずー)が目立つようになってきました。

高度経済成長で国民が金持ちになるのに加えて、
通貨がどんどん強くなっている中国。
その中国からの観光客が、
一時期の日本人のように世界各地の観光地で散財し、
現地の人たちから歓迎と嫌悪の感情が
ないまぜになった目で見られるようになるのも
時間の問題なのではないでしょうか。


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2008年9月12日(金)

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