第937回
メラミン牛乳事件に見た日本の活路

中国では今、有害物質・メラミンに汚染された
粉ミルクや牛乳が市場に出回り大騒ぎになっています。

混入しているメラミンは微量で、
毎日牛乳を2リットル以上飲み続けなければ
体に害を及ぼすことはない、とのことなのですが、
それでもやはり有害物質が
入っている食べ物を食べるのはイヤですので、
最近私は牛乳や乳製品をなるべく
飲んだり食べたりしないようにしています。

なぜそんな有害物質が牛乳に混入したのかというと、
一部の搾乳業者が儲けのために原乳を水で薄め、
そこにメラミンを入れることによって
タンパク質の含有量が牛乳会社の買い取り基準を
満たしているように偽装していたのだそうです。

牛乳会社が搾乳業者から原乳を買い取る際には、
タンパク質の含有量を含まれる窒素の量で測るのですが、
窒素化合物であるメラミンを入れると、
タンパク質が十分にあるような測定結果が出るのだそうです。
目先の利益のために食品に有害物質を入れるなど言語道断、
全くとんでもない話です。

こうした事態を受けて北京市当局は、
北京市内の乳製品メーカー全36社に監督人員を派遣し、
出荷される製品の安全を保証、
それ以前に出荷された在庫に対しては全量メラミン検査を行い、
合格した製品には「メラミン未検出」と書かれた
緑色のシールを貼りました。

しかし、それでも消費者の不安は払拭できず、
スターバックスではラテなどに使用していた牛乳を
全て豆乳に切り替えたのだそうです。

そんな中、日本のアサヒビールと伊藤忠商事が
山東省莱陽市に設立した山東朝日緑源乳業が、
自社牧場で生産した安心、安全の高品質牛乳
「唯品(ゆいぴん)」を売り出しました。

この「唯品」、
お値段は1リットル20.8元(330円)と
他社製品の2倍以上なのですが、
「値段が高くても、安心なら」ということで、
爆発的に売れているそうです。

安心、安全、そして高品質。
こうした日本では当たり前のことを極めていくことこそが、
日本企業の中国マーケットでの地位を向上させ、
延いては日本の活路を開くことになるのではないか。
今回の事件を見て私はそんなふうに思いました。


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2008年10月15日(水)

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