第985回
インターネット民主主義元年

昨年は中国にとって
「インターネット民主主義元年」
とも言える年でした。
以前の中国ではインターネット上の意見が、
これほどまでに政府の政策や多くの中国人の行動に
大きな影響を及ぼすことはあり得ませんでした。

昨年は正義感に燃える「憤青(ふんちん、怒れる青年)」が、
全人口の20%以上、3億人近い
「網民(わんみん、インターネット利用者)」を先導して
オリンピックの聖火リレーを妨害した
フランスに対する報復としてフランス企業である
大手スーパー・カルフールの不買運動を起こしたり、
「四川大地震はチベット弾圧に対するカルマ(報い)だ」
と発言したアメリカの女優・シャロン・ストーンを叩き、
中国で二度と仕事ができないようにしました。

また、「網民」の動きは無視できない
と判断した中国共産党は、
彼らを味方に付けるべく胡錦涛国家主席が
「人民網」の掲示板で「網民」と交流、
「みなさんの意見や提案に
われわれは非常に関心を持っている」
と呼びかけました。

そしてそうした努力の結果、「網民」の中に
「什錦八宝飯(しぇーじんぱーばおふぁん、五目八宝飯)」
がたくさん生まれました。
ちなみに、「什錦八宝飯」とは
胡錦涛国家主席(錦)や温家宝首相(宝)の
ファン(飯)という意味なのだそうです。

日本では麻生首相が羽田空港で
「ローゼンメイデン」という
かなりマニアックなマンガを
読んでいたところを目撃され、
一部のインターネット掲示板では
「ローゼン閣下」などと呼ばれて、
絶大な人気を誇っているようですが、
実社会での支持率は低下の一途を辿っているようです。

「ローゼン閣下」におかれましては、
ぜひ中国共産党のしたたかな
インターネット宣伝戦略を参考にして頂き、
支持率の上昇を図って頂きたいものだと思います。


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2009年2月2日(月)

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