第1004回
日本の非正規労働者問題の本質

中国が来るべき高齢化社会に備えて
経済構造の高付加価値化を進めているのに対し、
高齢化社会先進国であるにも関わらず、
日本の経済構造が劇的に
高付加価値化しているようには見えません。

特に最近の非正規労働者の
雇用問題についてのニュースを見ていると、
フラット化、グローバル化した世界の中で、
人件費の安い国でも作ることのできる製品を
わざわざ日本国内で作り続けるために、
日本人労働者を中国などの人件費の安い国と
同等の低い賃金で働かせて、
製品の国際的な競争力を保とうとしているように思えます。
これでは物価の高い日本に住んでいるのに、
中国で働く工場労働者並みの給料しか
もらえない人が出てくるのは当たり前のことです。

そして、世の中の流れとしては、
雇用の調整弁として利用されている
非正規労働者の雇用を
企業に認めたことが悪かった、ということで、
企業は企業の社会的責任を果たすために、
従業員は非正規ではなく全員正社員として雇用しなさい、
という方向に傾きつつあります。
しかし、こんなことをすれば
日本の製造業の国際競争力はガタ落ちとなり、
人件費の安い国の製品にシェアを奪われ、
非正規どころか正社員の働く場所もなくなってしまう、
という本末転倒の事態に陥るのは
火を見るよりも明らかです。

500円のランチを食べている日本人がすべきことは、
50円のランチを食べている中国人に対抗して
自分のランチも50円に落としたり、
50円分の付加価値しか生み出していないのに、
「500円のランチを食わせろ!」と要求することではなくて、
500円分の付加価値を生み出す仕事を
見つけることなのではないかと私は思います。

日本人は今回の非正規労働者問題の本質を見つめ、
日本の将来の方向性を考える良い機会であると前向きに捉え、
遅ればせながら国内の経済構造の
劇的な高付加価値化を図る必要があるのではないでしょうか。


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2009年3月18日(水)

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