第1025回
利益率が極端に低い倉庫事業

当社の欧米人向け海外引越事業は、
支払い期限が過ぎた売掛金が200万元(2900万円)以上あり、
当社の資金繰りを圧迫しています。

しかし、かと言って、
件の100万元(1450万円)未払いの
欧米系引越会社にやったように支払いを強制すると、
発注を止められ、欧米人向けの引越業務そのものが
全くなくなってしまうかもしれません。

当社の海外引越サービスは、
その高い品質とリーズナブルな価格において
北京ナンバーワンを自負していますので、
一時的に発注が他社に流れても、
いずれはみんな戻ってくるという自信はあるのですが、
それでも仕事が一気になくなってしまうと
それはそれで困りますので、
当面は何しろ催促、催促でなるべく早めに払ってもらう、
という形で対応していこうと考えています。

これに対して、1年前から始めた倉庫事業は、
お客様がみなさん前払いでおカネを払ってくれますので、
倉庫が埋まってくれさえすれば資金繰り的には非常に楽です。
どうも、中国では引越業界は
支払い遅延が業界の常識なのですが、
倉庫業界は前払いが業界の慣習になっているようです。

更に、倉庫事業の良いところは、
半分不動産業のようなものですので、
一度契約してしまえば
その後はほとんど手がかかりませんし、
人をたくさん雇う必要がありませんので、
人事管理上のトラブルや
人為的ミスが起こるリスクも少なくなります。

いつも引越事業で
「作業員がお客様のお皿を割ってしまいました!」とか、
「トラックが故障して、
時間通りにお客様のお宅に到着できません!」とか、
そういったトラブルが発生しないか
ビクビクしている私にとっては、
倉庫事業は穏やかな春の日の公園の
池の平らな水面(みなも)のような事業です。

ただ、倉庫事業にも欠点はあります。
それは唯一の、しかし致命的な欠点なのですが、
利益率が極端に低いのです。
一般の商業倉庫として貸し出した場合、
付加価値を付けて高く売ることは難しく、
お客様も何しろ「賃料が高いか安いか」
ということでしか判断しませんので、
利益率の上げようがありません。

このため、現在の当社の
8300平方メートルの倉庫が全て埋まったとしても、
出てくる利益はほんのわずかです。
ちょっと計算してみたところ、
引越事業と同額の粗利を稼ぎ出すためには、
少なくとも25万平方メートル、
今の倉庫30個分の面積が
必要であることがわかりました。

手がかからなくて利益率が高い商売が
簡単に見つかるほど甘くはありませんなぁ、
世の中は。


←前回記事へ

2009年5月6日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ