第1026回
「それなら「我・的・空・間」すれば」

利益率が極端に低い当社の倉庫事業ですが、
何とか利益率を上げる方法はないものか、
と考えて始めたのが、
中国では恐らく初めてとなるトランクルームサービス
「我・的・空・間(うぉーだこんじぇん)」です。

「我・的・空・間」は
ダンボール箱、梱包作業、お引取りまで全て含めて、
3立方メートル230元/月(3300円)からと、
非常にリーズナブルな価格設定にしていますが、
単純に倉庫業として考えた場合、
平米単価は商業用として貸し出した場合の
10倍以上になります。

中国には倉庫業を営む会社はたくさんあります。
しかし、たぶん当社の商業用倉庫事業同様、
利益率が極端に低いため、
何しろ大きな面積を借りてくれるお客さんを欲しがります。
このため、ちょっとした荷物を預かってもらおうとして
倉庫会社に電話をしても、
借りる面積が100平方メートル以下だと
まず断られてしまいます。

一方の日本では、
1990年頃にトランクルームがお目見えし、
その後急速に普及、
今では800億円市場となっています。
日本と中国では同じぐらいの経済規模があるにも関わらず、
中国にトランクルームというサービス自体がないのは
どう考えてもおかしいです。
私は必ずや需要はあるのではないかと思っています。

しかし、中国初ということで、
企業にも個人にも「トランクルーム」
という概念が全くありません。
このため、そもそもどんなサービスなのかを
一から説明しなければなりません。

トランクルームのサービスを
一言でわかってもらえる中国語表現はないものか、
といろいろと考えた結果、当初は
「倉庫の中にコンテナボックスを据え付け、
そこでお客様のお荷物を保管する」
ということを表すために、
「保管箱(ばおぐぁんしゃん)」という翻訳をしました。

しかし、営業活動を続けていく中で、
「保管箱」と聞くとみなさんの頭の中に
銀行の貸し金庫のようなものが浮かんでしまうことがわかり、
今では倉庫の小型版ということで、
「小倉庫(しゃおつぁんくー)」という名前で説明しています。

今後、中国のみなさんに
トランクルームの概念が定着するまでは
かなりの苦労が予想されますが、
当社がトランクルームを中国に普及させた暁には、
日本の「この書類、ゼロックスしといて」や、
「この荷物、宅急便で送っといて」と同じように、
「我・的・空・間」がトランクルームを表す
一般名詞になれば良いなと思っています。

「こんなにたくさん資料があって、置き場所がないよ」
「あー、それなら「我・的・空・間」すれば」
こんな会話が中国中でなされることを夢見ています。


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2009年5月8日(金)

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