第1099回
従業員の国籍に拘る企業

今年の「京論壇」()は「東アジア」、「メディア」、
「国家とアイデンティティ」という
3つの分科会に分かれて討論がなされました。

私がレクチャーをさせて頂いたのは「東アジア分科会」です。
「東アジア分科会」は東アジア、
特に日中間の頭脳労働者の流動が
両国にもたらすメリットについて討論を重ねていました。

まずは、雇う方の企業についてですが、
私からは「今後、従業員の国籍に拘っているような企業は
競争力を失うのではないか」というお話をさせて頂きました。

私は常々、世の中には5種類の人材がいると考えています。
それは
1.言われたこともやらない人
2.言われたことだけをやる人
3.自分で仕事を探して自律的に働く人
4.既存の事業においてチームをまとめて
  その結果に責任を負う人
5.新規の事業を立ち上げてチームをまとめて
  その結果に責任を負う人

の5種類です。

従来、北京の日本企業は幹部を日本人駐在員で固め、
現地採用の中国人社員は昇進しても課長まで、
というようないわゆる「ガラスの天井」を作ってきました。
このため、北京の優秀な学生たちからは、
「日本企業に就職しても将来性が見込めない」と敬遠され、
集まってくるのは2以下の人材ばかりでした。

これに対して、欧米系企業は3以上の人材を求めて、
がんばれば青天井で昇進できるキャリアパスを示しましたので、
優秀で自分の能力に自信がある人材は
みんな欧米系企業を目指しました。

ただ、日本企業にとっての中国の位置付けが、
生産拠点から主要マーケットに変化する中で、
日本企業が採用しなければならない人材も
2以下から3以上に変わりつつあります。
なぜなら、生産拠点だった時代は
少数の日本人駐在員の下に
2の人材が大量にいればよかったのですが、
中国でモノやサービスを売るに当たっては
日本人はあまり役に立たず、
いかに優秀な3以上の人材を
大量に確保するかが重要になってくるからです。

今後、日本企業も従業員の国籍に拘っている場合ではなくなり、
従業員の能力や特性に応じて適材適所の人員配置を
せざるを得なくなってくるのではないかと思います。
そして、「日本人だから給料が高い」とか、
「中国人だから給料が安い」といった
国籍による給与格差はなくなり、
国籍に関わらずその人が生み出した付加価値に応じた報酬が
支払われるようになっていくのではないでしょうか。


 http://jingforum.org/jp/index.html


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2009年10月26日(月)

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