第1130回
失敗その1 倉庫事業

2008年5月に始めた倉庫事業。
問い合わせはたくさん来るものの、値段が折り合わず、
なかなか倉庫スペースが埋まらずにいました。
そんなことをしている間に、
北京はオリンピックの交通規制が始まってしまい、
市内の物流がほとんど止まってしまいました。

物流が止まれば当然、倉庫など必要ありませんので、
問い合わせもほとんど来なくなってしまいました。
当社はこの倉庫の土地を買ったわけではなく、
17年の契約で借りているだけですので、
空の倉庫を抱えて収入がほとんどないにも関わらず、
当社のような零細企業にとっては膨大な金額の
土地の賃貸料を払い続けるという日々が始まりました。

そんな状況に陥って私は初めて
「赤字リスクよりも空室リスクの方がはるかに大きい」
という事実に気付きました。
倉庫事業を始めた当初、安い賃貸価格を提示する会社は
全てこちらからお断りしていたのですが、
正解は「赤字が出ても何しろ倉庫を埋める」だったのです。

こんなことは不動産の賃貸をされている方にとっては
基本中の基本なのだと思いますし、
私も後から振り返って考えてみれば
当たり前のことだと思うのですが、
当時の私は、赤字で貸すことに強い心理的な抵抗があり、
痛い目に遭って初めてこんな基本的なことを学びました。
本当に情けない限りです。

その後、オリンピックも終わり、
出血を少しでも食い止めるために、
赤字覚悟で倉庫を埋め始めました。
当社の倉庫のお客さんがドメスティックな会社ばかりで
金融危機の影響をあまり受けなかったことや、
たまたま借りてくれた紙の会社の社長が
同業他社に当社の倉庫を紹介してくれたことなどにより、
倉庫は徐々に埋まり、先日、
ようやく全てのスペースを埋めることができました。

赤字覚悟でスペースを埋めましたので、
当然、スペースが全て埋まってもまだまだ赤字です。
しかし、出血の量はおかげさまで、
オリンピックの頃に比べればずいぶん少なくなりました。

今後はマーケットの状況を見ながら、
既に借りて頂いているお客様に値上げのお願いをしたり、
もっと高い値段で借りてくれるお客様が現れたら、
安い値段で借りている既存のお客様と入れ替わって頂いたり、
という作業に移ります。

出血の量が少なくなり、
倉庫事業は何とか続けていくことができそうですが、
儲けがでるようになるまでには、
まだもうちょっと時間がかかりそうです。


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2010年1月6日(水)

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