第1157回
不信社会の中国でネット販売を普及させるには

私は、様々な中国に関する予言をはずしていますが、
「中国ではネット販売は普及しない」というのも
その大ハズレの1つです。

ほんの4年前、恥ずかしながら私は
「第514回 中国では通用しないであろうサービス」で、
「中国は不信社会だから、ネット販売は普及しない」
と言い切ってしまっています。

こんな調子ですので、今、私が書いている内容も、
数年後に見たら噴飯ものかもしれません。
私が自分から言うのもなんですが、
みなさん、あまり私が言っていることを信用せずに、
ご自分の目で見た中国の姿だけを信じて、
中国ビジネスに邁進されてください。

ただ、ちょっとだけ言い訳をさせて頂けるのならば、
4年前、2006年ぐらいまでは、中国の人たちはみんな、
家電製品を買っても本当に店頭で箱から出して
動作確認をした上で買っていたのです。
それは確認しないで家に持って帰って、
万一、壊れていた場合、買った店に交換をお願いしても、
「あんたが壊したんでしょ」と言われるのが
オチだったからです。

しかし、その後「淘宝網」は、
不信社会でネット販売を普及させるために、
様々な仕組みを編み出しました。

まず、出店者を消費者のフィードバックによって格付けし、
不良出店者が淘汰される仕組みを作りました。
そして、支付宝(じふばお、アリペイ)という
商品代金を一時預かる、
いわゆるエスクローの仕組みを作り、
消費者がネット上に表示された通りの商品を受け取るまで
出店者側におカネが渡らないようにしました。

その他にも、7日以内無条件返品制度や
ホンモノ保証制度など、
消費者を保護し、安心して買い物を
してもらえるような制度を構築しました。

このため、今や「淘宝網」は、
当社の中国人社員をして「安心して買い物ができる」と
言わしめるぐらいの信用を得ました。
中国のネット販売の普及に対する「淘宝網」の功績は、
本当に本当に大きいと思います。
そして、「淘宝網」はC to Cのネット販売で
83%という驚異的なシェアを確保し、
先行者利益を存分に享受しているのです。

「中国は不信社会だからネット販売は普及しない」
ではなくて、
「不信社会の中国でネット販売を
普及させるにはどうしたらよいのか」と考える。
「淘宝網」のこうした発想方法は、
私も大いに見習わなければならないな、と思いました。


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2010年3月10日(水)

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