第1199回
日中ネット販売相互乗り入れの問題点

ヤフーと淘宝が始めた、日中ネット販売相互乗り入れ。

通関、決済、品質保証など、
国際取引のややこしいところは、
全て両社が解決してくれる、ということで、
これが本当に使えるようになれば、
両国の中小企業にとっては
相手国マーケット開拓の大きなチャンスとなります。

「淘日本」と「ヤフーチャイナモール」は、
本当にそんな夢を叶えてくれるのか?
私は早速、両サイトで試しに
買い物をしてみることにしました。

今回、私が欲しかったのモノは携帯用の「エコ箸」。
「環境保護の概念は日本の方が進んでいるので、
「エコ箸」なら日本の方が品揃えが豊富だろう」と考え、
まずは「淘日本」で日本の「エコ箸」を
探してみることにしました。

私が気に入った携帯用ケース付きの
「エコ箸」は150元(2,025円)でした。
「日本の製品ならこのぐらいの値段なのかな」
と思って買おうとしたのですが、
送料を見るとなんと商品と同額の150元。
150元のモノを買うのに150元の送料を払うのは、
心理的に非常に抵抗がありましたので、
買うのをやめてしまいました。

やはり、今後、「淘日本」で
日本製品を買う中国のお客さんを増やすためには、
送料の高さがネックになってくると思われます。
たくさんの商品をまとめて送って、
送料を今の1/10以下にするような
何らかの仕組みが必要であるように思います。

そこで次に、おなじみの「淘宝網」で
中国の「携帯ケース付きの箸」を探してみたところ、
たくさんの商品がヒットしました。

その中の浙江省のお店が出品していたこの商品。
値段を見ると...。
3.3元(45円)!安っ!
もちろん、日本の製品とは品質が違うのでしょうが、
スプーンも付いているのに、値段が二ケタ違います。

この商品、日本の消費者向けの
「ヤフーチャイナモール」でも売っているのですが、
値段は625円と10倍以上。
最初は送料込みの値段かと思ったのですが、
説明を読んでいくと送料は別途で
1,800円ぐらいかかるようです。

私が「淘日本」で見つけた
150元(2,025円)の「エコ箸」は、
日本の「ヤフーショッピング」では
1,890円とほとんど変わらない値段であるのに、
「淘宝網」で3.3元(45円)で売られているものが、
「ヤフーチャイナモール」では10倍以上の
625円で売られているのは解せません。

もちろん、これは商売ですから、
ヤフーがこのお箸セットに625円の値段を
付けることについては何の文句もありません。

しかし、同じ商品の価格がネット上で
ガラス張りになっていますので、
「淘宝網」の10倍の値段で買ってしまった日本の消費者は、
「ヤフーチャイナモール」の値付けの信頼性に
疑念を抱くかもしれません。

このせっかくの日中ネット販売相互乗り入れを
成功させるためにも、
ヤフーは日本の消費者に対して
10倍以上の値付けの理由を
明らかにする必要があるように思います。


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2010年6月16日(水)

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