第1208回
価格競争とは無縁のB to Cネット販売

「淘宝網のお店は全部負け組」とは言っても、
月1,000元(1万3,500円)稼ぐ商品を10個持っていれば、
月収1万元(13万5,000円)。
その辺のサラリーマンよりはずっと高収入ですので、
今後も厳しい価格競争を繰り広げながらも、
「淘宝網」への参入者は減らないのではないかと思われます。

しかし、今後、
中国のネット販売で急成長が見込まれるのは、
「淘宝網」のように個人や個人商店が
消費者に販売するC to Cではなく、
「淘宝商城」のように企業が
消費者に販売するB to Cのマーケットです。

2009年4月に「淘宝商城」に出店したユニクロは、
たった半年後の2009年10月には
ネット上での単月売上が1,000万元(1億3,500万円)を超え、
大成功を収めました。
ユニクロのネット販売は、
たくさん売れているのがネット上で公開されていても、
誰もユニクロの服をどこかで
更に安く仕入れてくることはできませんので、
価格競争の消耗戦に持ち込まれる心配はありません。

また、ユニクロのネット店舗の売上の2/3は、
ユニクロがまだ実店舗を出店していない
内陸部からのものであるとのことですので、
沿海部は実店舗で売る、内陸部はネット店舗で売る、
といううまい棲み分けができています。
更に、ネット店舗では、
どこの省でどんな商品がどれぐらい売れている、
ということが、全てデータとして残りますので、
今後、内陸部に実店舗を出店する際にも、
タイミング、立地、店舗面積、品揃えなどで
失敗する可能性が非常に小さくなります。

現在、中国のネット販売に占めるB to Cの割合は
C to Cと比べるとまだまだ圧倒的に少ないようですが、
このように出店企業にとってはたくさんのメリットがあり、
ネット販売サイト側もC to Cでは取れない
出店料やロイヤリティーが取れますので、
両者の思惑が一致して、
今後、B to Cの取引は急激に伸び、
C to Cとの割合は逆転するのではないかと思われます。

ただ、日本企業が中国のB to Cサイトに出店すれば、
すぐにでもユニクロのように爆発的に売れるか、
というとそんなことはありません。
ユニクロの商品が実店舗のない中国内陸部でも売れるのは、
ユニクロという「ブランド」が
内陸部も含めた中国全土に浸透しているからです。
ユニクロは中国でのユニクロブランド浸透のために、
ものすごい労力とおカネを投入していると聞いています。

果てしない価格競争の消耗戦とは無縁のB to Cネット販売。
しかし、中国国内で「誰が聞いても知っている」という
「ブランド」を構築しなければ、
消費者は「今すぐ買う」のボタンを
クリックしてはくれないのです。


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2010年7月7日(水)

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