第1262回
「BMWに乗って泣くほうがいいわ」

「自転車に乗って笑うより、BMWに乗って泣くほうがいいわ」

これは江蘇衛星電視台の
人気お見合い番組「非誠勿擾」中で、
女性出演者の1人、22歳のタレント・馬諾(まーのう)が、
自転車に乗るのが好きな無職の男性出演者の
「僕と一緒に街を自転車で走り回りたいと思わない?」
という質問に対して、冷たく言い放ったセリフです。

放送終了後、馬諾の拝金主義的発言に対して
中国全土から批判が殺到。
馬諾は「宝馬女(ばおまーにゅぃー、BMW女)」
のあだ名で一躍有名になりました。

年末までまだ2ヶ月弱ありますが、
2010年の中国暴言大賞はこれに決まりですな。

このBMW女の暴言は中国政府をも動かしました。

中国政府でテレビ局を管轄する国家広播電影電視総局は、
人気がある一方で内容が低俗、という批判が出ている
「非誠勿擾」を始めとするテレビのお見合い番組に対する
規制強化をテレビ各局に通達しました。

通達は
1.拝金主義など不健全な考えの流布をしてはならない、
2.誤った恋愛、結婚観を持つ人物を出演させてはならない、
などの内容で、放送前に修正を可能とするため、
生放送は禁止としました。

中国では最近、
若い女性に結婚についてのアンケートをすると、
結婚相手とする男性の条件として
「家と車を持っていること」と回答する人が多く、
それが男性の結婚難を招いているそうです。
日本でもバブル経済のときには、
三高(高身長、高学歴、高収入)の男性を
結婚相手の条件として挙げる女性が多かったですので、
どこの国でも景気が良いと、
経済的な条件を重視する女性が増えるのかもしれません。

しかし、今回はさすがにBMW女を擁護する人はおらず、
インターネットは彼女の拝金主義的発言を
批判するコメントで埋め尽くされています。
中国の多くの人たちの考え方は意外と健全で、
中国政府が目くじらを立ててテレビ番組を検閲するほど
深刻な状態には至っていないのかもしれません。

中国は高度経済成長のせいで、
国民の多くがカネに魂を売った
拝金主義国家になってしまったと思っていたのですが、
私、ちょっと安心しました。


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2010年11月10日(水)

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