第1321回
「日本人だと悟られて良かった」

今回の東日本大震災に対する
中国の関心は非常に高いです。

テレビも連日、日本と同じように
地震関係の報道を流しっぱなしにしています。
特に、地震発生直後には、まだ開催中だった
今後5年間の国の政策を決める中国の国会・
全国人民代表会議(全人代)の報道は後回しにされ、
日本の地震の報道が優先されていました。
中国は今回の地震を、外国ではなく
まるで自国で起きたことのように心配してくれています。

地震発生後、たくさんの中国人の友人から
「ご家族は大丈夫でしたか?」という気遣いの言葉や、
「日本加油!(りーべんじゃーよう、日本がんばれ!)」
という励ましの言葉を頂きました。

更には、日本語で電話をしていた私が
日本人だとわかったタクシーの運転手さんから
「あなたの故郷は大丈夫でしたか?」とか
「被災者の方々のためにできることがあれば、
何でもしたいと思う」という暖かい言葉を頂いたり、
当社のオフィスの隣りに入っている
中国の中堅銀行・華夏銀行亮馬河支行の
張さんという行員の方が、
「被災者の方のお役に立ててください」と
日本円の入った封筒を全く面識のない私に預けてくれたり、
といったこともありました。

私は普段、エレベーターや地下鉄、バスの中など
人がたくさん集まる場所ではなるべく日本語を話さず、
日本人だと悟られないように務めてきました。
なぜなら、日本に対して
様々な感情を持つ人が集まっているここ北京では、
日本人だと悟られて悪いことは起こりこそすれ、
良いことなど絶対に起きないと思っていたからです。
しかし、今回、多くの面識のない方々からも暖かい言葉を頂き、
変な言い方ですが15年間北京に住んできて始めて
「日本人だと悟られて良かった」と思うことができました。

靖国問題、歴史教科書問題、
尖閣諸島問題、ガス田問題など、
日中両国の間にはたくさんの問題があり、
度々起こる反日デモの映像などを見て、
中国の人たちに嫌悪感を覚えている日本人も多いと思います。
しかし、大震災というケタ外れの大問題に直面してみると、
中国の人たちはとても優しく、
日中間に横たわる様々な問題など
とてもちっぽけな問題であるように思えてきます。

私は常々「宇宙人が攻めて来た時が、
地球に平和が訪れるときだ」と考えています。
なぜなら、宇宙人という共通の敵に対して、
国や人種を超えて全人類が一致団結して戦わなければ、
地球が征服されてしまうからです。

大規模な自然災害、というのは、
全人類が一致団結して戦わなければいけない
という意味においては宇宙人の襲来と同じです。
願わくば、日中両国に限らず全世界の人たちが、
今回の日本の地震を教訓として、
大規模な自然災害や宇宙人の襲来という大問題が起こらなくても、
普段からちっぽけな問題には目をつぶって、
みんなで仲良く一致団結して暮らしていけると良いな、
と思います。


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2011年3月25日(金)

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