第1327回
はずしてばかりの中国ビジネス予想

中国で働き始めて15年が経過した私ですが、
中国ビジネスについてはいまだに予想をはずしてばかりいます。

まず日本のラーメン。
中国ではラーメンは白いご飯と同じく
主食(ちゅーしー)に属し、
肉や野菜食べた後のお腹の隙間を埋めるための
ランクの低い食べ物という位置付けでしたので、
私は中国の人たちが食事をラーメンだけで済ませる、
などということはあり得ない、
故に、日本のラーメンは中国では流行らない、
と考えていました。

しかし、最近は北京でも味千ラーメンを始め、
日本のラーメンは大人気で、
店によってはみなさん行列を作って、
ラーメンだけの食事を楽しんでいます。
以前は、日本に行った中国の人たちが
「日本人は(両方とも主食である)
ラーメンと餃子を一緒に食べて食事にしている」
とたいそうビックリして帰ってきたものですが、
今はみなさん「ラーメン・餃子定食」を食べることに
何の抵抗もないようです。

それから通信販売。
私は実物を見て、試しに使ってみて、
品質に問題がないことを確かめなければ
モノを買わない人が多い中国では、
通信販売は成り立たないと思っていたのですが、
今では淘宝網を始め、たくさんのネット店舗で
あらゆるモノが売られています。

また、店舗で箱から出して、
コンセントを差し込んで動作確認ができなければ
誰も買わない思っていた家電業界でも、
家電専門ネット販売会社である京東商場が急成長し、
蘇寧電器や国美電器など店舗型の家電量販店を
脅かすまでになっています。

そしてクレジットカード。
モノを買ってもおカネを払わない人が多い中国では、
即時現金決済が必須です。
このため私は、自分の預金額よりも
たくさん買い物ができてしまうクレジットカードは、
踏み倒す人が続出してシステム自体が成り立たず、
普及しないのではないかと思っていました。

しかし、中国でのクレジットカード発行枚数は2億枚を超え、
伸び率ではデビットカードである銀聯カードを
はるかに上回っているようです。

これらの他にも私は予想をたくさんはずしているのですが、
それは全て「中国はこうだ」とか「中国人はこう考える」という
固定観念が原因となっています。
なまじ長く中国に住んでいるので、
自分では中国や中国人の考え方を
良く理解しているように思っているのですが、
実際には理解していると思っていた
中国や中国人の考え方の方がどんどん変わってきており、
私の固定観念が置いてきぼりにされているのです。

これから中国でビジネスをしていくに当たっては、
中国や中国人の考え方を理解するのはもちろん大切ですが、
逆に、「中国はこうだ」とか「中国人はこう考える」という
固定観念に縛られない自由な発想をすることも
大切なのではないかと思いました。





←前回記事へ

2011年4月8日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ