第1361回
中国の人たちを食品不信から救う「レンタル農場」

福島原発の放射能漏れ事故による、
中国の人たちの日本産食品に対する強い拒否反応には、
正直なところ、私も大変驚きました。

節操の無い日本料理店などは、
今まで日本産の食材を使っていることを
売りにしていたにも関わらず、
「当店が使用している食材は、
開店時からずっと中国産です」
とカミングアウトしたりしていますが、
では、中国の人たちは中国産の食品なら信用するのか、
というと、そんなことは全くありません。

日本でも大きく報道されたメラミン入り牛乳事件を始め、
最近でも大手食肉加工会社の河南省の子会社が、
飼料に混ぜて食べさせると、豚の動きが活発になって
豚肉の赤身が増える違法な興奮剤を使ったり、
江蘇省の農家がスイカを大きく育てるために
膨張剤を注入したところ、
たくさんのスイカが膨張しすぎて破裂する事件が起きたりと、
食の安全を脅かす事件は頻繁に起こっています。

そんな中、北京では最近、
農薬を使わない有機野菜を売るスーパーや宅配業者が増えており、
値段が普通の野菜の10倍前後と高額であるにも関わらず、
マーケットは急速に拡大しているようです。
しかし、この有機野菜にしても、
栽培の過程をずっと見張っているわけにもいきませんので、
本当に農薬を使っていないのか、
本当に安全なのかはわかりません。

今、中国の人たちは、
売られている食品が全く信用できない、
という疑心暗鬼に陥っているのです。

そんな状況を見て
私が今後流行るのではないかと思っているのが、
「レンタル農場」です。

売られている食品が信用できなければ、
自分で作るしかありません。
しかし、北京の市街地に住んでいる人たちは
みんな団地かマンション住まいですので、
自宅で野菜や果物を作ることはできません。

そこで、北京の郊外のタダ同然の土地を買い取って、
小さく区切り、農場として貸し出します。
借りた人は週末に車で自分の農場に来て
本当に安全な野菜や果物を自分で作り、
収穫したものを家に持ち帰って食べます。

ネットで調べたところ、北京には
もう既にそうした事業をやっている人がいました。

私が見つけた
「北京市流村田園盛業農業専業合作社」()は
年間1,980元(24,750円)、
月165元(2,060円)で
30uの農地を貸してくれるようです。

場所は北京市の北西の郊外にある昌平区。
農場は高速道路からも近いので
市街地から車で40-50分も走れば着きそうです。
同社のウェブサイトの写真を見ると、
貸してくれる農地は温室の中にあるようですので、
冬でも野菜や果物を育てられそうです。

中国の人たちを食品不信から救う「レンタル農場」。
消費者への切り口の見せ方によっては、
結構おもしろいビジネスになるのではないか、
と思いました。


http://www.tysy126.com/page01.html


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2011年6月27日(月)

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