■柳田洋・北京からの画像便り No.176 ■


蒙古文字

天津駅を出て、ずーっと右に歩いていくと、
いきなりこの看板。
何と書いてあるか、はおろか、
何語かさえわからない方が多いかと思いますが、
実は、この文字は蒙古文字で、
「内モンゴル自治区人民政府天津事務所」
と書いてあります。
私も蒙古文字が読めるわけではなく、
この隣に同じ形式の
中国語の看板があったからわかったわけであり、
何もなければ、全くわかりません。
こういう看板を見ると、改めて、
住んでいるのが漢字の国でよかった、と思います。
その昔、モンゴル人はみなさん、
この蒙古文字を使っていたのですが、
1911年の辛亥革命と同時に独立した
モンゴル人民共和国(現、モンゴル国)は、
ソ連陣営に属していたため、その影響を強く受け、
ロシア文字を使って、モンゴル語を書き表すようになりました。
ですので、内モンゴル自治区のモンゴル人と、
モンゴル国のモンゴル人は、
電話でおしゃべりすることはできますが、
文字が違うので、文通はできないのです。
同じ民族でありながら、違う文字を使う。
こんなところにも、政治に翻弄される民族の悲劇が、
垣間見えます。

撮影日:2006年3月5日(日)
撮影:柳田洋


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