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2.奇跡の入店

ロールスロイスから降りてきたその方の振る舞いはエレガントで、
一目見てこの方はただ者ではないなというのが私の第一印象でした。

その方は私の店の前を通り過ぎる時に、
店頭にあるジュエリーの飾られたショーケースに目をとめました。
私はこれほどのお洒落でお金持ちの方なので、
男性でもジュエリーに興味があるのではと考え、
私はぜひこの方をお話してみたいと思いました。
またこの際、もしかしたらジュエリーの購入もあるのではないかという下心が、
多少なりともあったことは否めません。
(すみません、時効ですのでお許し下さい)

私は緊張しながらも思い切って声をかけました。
「こんにちは!店内にも多くのジュエリーがあります。
良かったらごらんいただけませんか?」
すると、「じゃあ見てみましょうか。」
とあっさり秘書の方と店内に入ってくださいました。
私はまさかこんなに簡単に入店してくださるとは思わず、
逆にどうしたらよいか必死に考えをめぐらせました。

店内の一番奥の席に座っていただき、
さてこれからどのようなセールストークをしていこうかと考えましたが、
緊張もありなかなか良い考えが浮かびません。
そこで、まず思い切って店内で一番高いジュエリーを見せました。
しかし、その方は手に取るもののまったく興味を示しません。
私は少しあせり、他のジュエリーもいろいろお見せしました。
「これらのジュエリーは全て手作りで、
私と父で全てデザインをして、全ての工程を自分で製作している、
世界にひとつだけのジュエリーなんです。」と言いました。
するとその方は笑顔でうなずいてくださり、
そして「僕は今北京で結婚式場をやろうと思っているんです。」とおっしゃいました。
それならば結婚指輪なら興味があるのではないかと思い、
店内にある全てに結婚指輪を並べたものの、
これにもまったく興味を示しませんでした。

(続く)


2008年7月9日 <<前へ  次へ>>