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57. 奥菜恵に見る愛の本質

「これだけ買い与えて不自由ない生活をさせてるじゃないか」
と言う藤田社長に対し、奥菜さんは
「買い与えて!? あなたの幸せってお金?肩書?世間体?」
と口論したというのだ。


これは、先日自叙伝の出版を発表した
女優の奥菜恵の本の中身の一部分らしいですが、
サイバーエージェントの社長さんの藤田さんが
ほんとにこんなことを言ったのか私にはわかりませんが、
(仮に言ったと仮定して)こういうことを言う男の気持ち、
わからないでもないなぁ〜というのが私の正直な感想です。
それどころか似たようなことを言ったこともあります。

厳しいビジネスの世界を走っていると、
全ての物事を何かと合理性、論理性、
そして目に見える物質的なものさしで判断する癖がついてしまいます。
これは言ってみればビジネスの1つの弊害でもあると思います。
この考え方が行き過ぎると、
それが自分の中で普遍化されて家庭の中にまで影響してしまうのです。

するとたとえば妻と会話している最中に
「だからさ〜、いったい何が言いたいの?」
「要点がよくわからないんだけど、ポイントは何?」
「いったいぐちりたいのか、相談したいのか、問題解決したいのかはっきりしてくれる?」
などといった発言につながってしまうのです。

でもたいていの場合、女性が求めているのは
具体的な問題解決というよりは、相談できるという状態、
家族で一緒に考えているという一体感、
そして何より頼りになるパートナーがいるという安心感なのです。

男にとってコミュニケーションは手段であっても、女性にとっては目的のなのです。
このこと書いてベストセラーになったのが、
かの有名な「話を聞かない男、地図の読めない女」という本でもあるのです。

ところで、私に「愛の本質」を気づかせてくれた経験があります。
以前、私の友人仲間の一人にある女性がいました。
彼女のご主人はやり手の銀行マンで
当時その銀行の若手で全国トップの出世をしていた人でした。
しかし、日本のエリートサラリーマンの例にもれず夜中の2時か3時に帰宅し、
朝の7時半には起床して会社に向かい、
週末は普段の疲れを癒すように遅くまで寝ているという生活でした。
奥さんと一緒に過ごす時間がほとんどないようでした。

その日は彼女の誕生日でした。
朝、彼女が起きるとダイニングテーブルの上に1枚のクレジットカードがおいてありました。
横に「今日は誕生日でしょ、今日も遅くなるから、これで好きなものを買ってね。」
とメッセージをそえて。

それを見た彼女が仲間に打ち明けていました。

「私が欲しいのはクレジットカードじゃない。」と。

「やっぱり花とかの方が気持ちを感じる?」私が聞くと、

「あなたも全然わかっていない。
女が嬉しいのは、男が忙しい中時間を作って食事にいったり、
安くても何かを求めてわざわざ探しにいったりして、
女はそういう男の努力の汗を見て愛を感じるの。」

女性にとっての愛の本質とは"男の汗"である。

このことを聞いて、私は、ハッとしました。
そして同時に記憶の中に刻み込まれました。

今回なぜ、愛の本質の話をするかというと、
ビジネスでもよく本質思考ということが言われる中で、
本質という言葉の持つ意味を本当に理解するのは簡単でないと常々考えているからです。

私は、コンサルタント時代にこの本質という言葉の意味を本当に理解するまでに
3年もの時間がかかりました。

それ以来、物事の表面に見えることのみならず、
本質的なところを特に意識するようになりました。

奥菜恵さんが求めていたのも、
藤田さんのロールスロイスや宝石などではなく、彼の汗だったのでしょうね。

ここまで書いて、
「あなた何言ってるの、そういううんちくは、まず私に宝石を買ってからいってちょうだい。」
と妻の声が聞こえてきそうですが・・・。


2008年4月21日(月) <<前へ  次へ>>