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102.竹は一本では折れてしまう

私が担当している邱永漢グループの中国事業のここ成都エリアには、
邱先生と30年以上も一緒にやってこられた
大御所の方がいらっしゃいます。

その名は王さん。
我々は王総(ワンゾン)と呼んでいます。

この方は一見するだけでただものでない空気を漂わし、
話せばさらにその感を強くする
非常に強いオーラを発している方です。
間違いなく、日本ではお目にかかれない人物の一人です。

ワンゾンは、邱先生が来るたびに先生から過去学んだ教えや、
そして、自分の体験の中で学ばれたことを
おしゃべりの形で話してくれます。

先日も、先生を空港でお見送りした後、
振り返りざまにこんなことを私に言いました。

「キムくん。
竹は一本では倒れてしまうんだよ。
意味わかりますか?
草原の中に一本だけ竹が生えているところを想像してごらんなさい。
とてもとても強い風が吹けばきっとその竹は倒れてしまう。
でもね、もしその周りに数本の竹が一緒に生えていれば、
きっとその竹は倒れずに、守られるんだよ。
君のここ数年の成長は非常に目覚しいものがあるし、
本人である君もとても努力している。
だけど、竹と同じように、自分がだけが高く高く伸びるだけでは、
きっと強い風に倒されてしまう。
だから、自分が伸びることよりも、
自分の周りの竹を伸ばす努力をしなさい。」

私は、ワンゾンに3年前にソフィテルホテルのロビーで聞いた言葉、
「自分ひとりでなく、仲間みんなで一緒に成功しなさい。」
という言葉をちゃんと覚えていますと申し上げ、
新たに、自分ひとりだけが成功するのではだめであることを
心に刻みました。

そもそも私の人生の目標は、
自分の成功を通じてより多くの成功者を育て上げることにあり、
自分が80歳になったとき
今の邱先生のようになりたいと思っているくちですから、
この言葉の大切さは心の奥深くまでしみこむわけです。

事業で成功してくると、
「俺だけ儲けてやろう。」という気持ちが強まるはずです。
なぜなら、うまくいっているのですから
もう目の前に金塊がみえているようなものです。
人ですから、それを目の前にくらくらしないわけがありません。

でも、その金塊をいかに周りの人間を育てるためにつかえるのかが、
その事業家の度量でしょうね。


2009年3月9日(月)

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