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181. 上海は中国を代表しない

実は今回のコラム、一番最初につけてタイトルは
「上海に進出するのはおやめなさい。」
でした。
といっても上海進出を一律に反対しているわけではありません。

最近、上海に新規進出するという日本企業の話を何件か聞きました。
そのうち1社とは実際にあってお話を聞きましたが、
「あ〜、最終的にはどうするんだろう?」
という疑問がわいてきました。

上海は日本人にとってとてもなじみやすく良い町です。
私も好きです。

でも商売となったら、特に中国の経験がない日本企業が
新規進出するのはどうかな〜?と思います。

思い浮かぶ上海に進出するメリットとデメリットを書きます。

メリット
・比較的優秀な人材が確保可能
 (ただし、日本企業の新規進出の場合は
 日本からサポートスタッフを連れてくる場合が多いので
 短期的には影響ないかもしれませんね)
・資材や原材料が手に入りやすい
・中国の一番いい町に進出した(気分に浸れる)
・中国でもっとも消費力およびセンスのいい消費者への理解が深まる

デメリット
・各種のコスト高。特に家賃の人件費
−東京に迫る、もしくは超える高い家賃。
 人件費は地方の約2倍近い。
・上海を知って中国を知ったと勘違する
−上海は中国を代表しない

まとめると、
1)一般的には、中国では大都市と中規模都市で
  売上水準(例:「客単価」)が変わらない
2)従って、儲かるか儲からないかは
  どれだけコストをコントロールできるかによる
3)特に箱ものビジネス、たとえば飲食業はいわゆる
  FRL(フード・レント・レイバー)コスト比率が非常に高くなり
  利益は出しにくい

私はこんな風に見ていますから上海に出ようとする、
特に飲食企業の方々には、
「儲ける気があるなら、
他地域をお考えになったらどうでしょうか。」
とはっきりと私の見方をお伝えします。

もちろん、例外もあります。たとえば、
「箱ものビジネスでない(たとえば通販とかマーケティング・
通信・IT、サービス・教育関係とか)」
「上海からブランドを発信したい」という場合です。
後は、百貨店等に出店して、
売上の何パーセントを家賃で支払う場合
(もちろんその比率が高すぎないことですが)は別ですね。

一方、私の住んでいる成都を
手放しでお勧めするわけではないですが、
成都や天津、重慶、昆明、長沙等の
中規模もしくは2級都市とよばれるところは、
富裕層は驚くほど強い消費力がありますし、
各種のコストも低く抑えられるので、
商売のチャンスとしては絶好です。

上海を進めようと進めまいと
別に私にメリットのある話ではありませんが、
上海進出をお考えの企業の方、よくよくお考えになってくださいね。


2010年9月13日(月)

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