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221.ミニマリズム、無国籍な日本

中国で生活していて、
日本のことを日本(にほん)やJAPANと聞くのと、
日本(りーべん)と聞くのでは、聞こえ方が違います。

りーべんは中国語の発音ですが、
最近では名古屋市長の件のあと、
周囲で「りーべん」と聞こえると、反日の話ではないかと身構えてしまいます。
中国では嫌われ役が多い日本ですが、
こと技術やデザインの話になると、安心して話を聞くことが出来ます。

先日、有名服飾ブランドのデザイナー、
山本耀司さんがファッションシンポジウムに参加するために
中国に来ていたそうで、記者が行ったインタビューを見る機会がありました。
主催者は5年余りも山本氏を招待していたそうで、
シンポジウムの様子は中国のメディアでも大きく取り上げられていました。

中国メディアは、山本氏のミニマリズムや
Less is More(より少ないことはより豊か)の思想、
様々な国の文化を吸収してデザインに活かす
無国籍的なデザインが世界中で評価されていることを紹介していて、
その上で中国の若手デザイナーに対してアドバイスを求めました。

「日本は減法(ミニマリズム)だが、中国は加法だ。
中国は日本と同じ道を歩む必要はないくらいに
独自のもとがあるので、その道を進むべきだ。」
というように山本耀司さんは返事をしていました。

中国までミニマリズムに走ったら、
日本人の出る幕がなくなってしまうので、
「その通りだ!」と頷いてしまったのですが、
日本人の飾り気のない合理化は、
国民性、思想なのでそう簡単にマネできないのではないかと思います。

例えば、私は休日によく景色が綺麗なところを歩くのですが、
先月一時帰国していたときに、
新宿御苑の庭園を訪れて、改めて日本の自然の美しさに心癒されました。
北京だと頤和園(いわえん:西太后の避暑地とされた場所)という場所が
自然が多くて綺麗な場所なので多くの人が訪れるのですが、
10メートルもあろうかという壁がそそり立つ豪邸に、
海のような湖を美しさのベースとしていて、
よくもこんな大きなものをつくって凄いなあ、という場所です。
そういう感覚からミニマリズムが生まれるとは思えません。

中国で評価される日本人の仕事は、
合理化と、様々な価値観を取り入れる無国籍性で
共通することが多いのではないかと思います。
世界を舞台に活躍する先輩方の功績は
芸術家とは全く畑違いの商売人であっても、
日本人が海外で働くのをどこかで簡単にしてくれており、
非常にありがたい存在だと感じています。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2012年4月6日

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