Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第60回
「中央公論」誌上で「西遊記」の連載が始まりました

昭和32年10月4日、ソ連が打ち上げたスプートニック1号が
人類初の人工衛星となりました。
その直後に『中央公論』の編集長になった竹森清さんが、
この人類史上の快挙を記念する意味から
邱さんに『西遊記』の連載を依頼してきました。
邱さんは『西遊記』の原作を読み
風刺を効かせてた現代版の西遊記を書くことにしました。

「『西遊記』は中国の四大奇書の一つであるが、
日本では孫悟空の天界荒らしの場面だけがよく知られ、
子供の読み物になっている。
四百年も前に書かれたものとしては、
確かに自由奔放な空想小説であるが、
本文は意外に単調な構成であり、
全編を貫く思想も仏教の勧善懲悪の思想だから、
原作に忠実な書き方ではとてももたないと私は思った。
そこで現代を風刺するモダン『西遊記』に仕立てることにし、
藤城清治さんに影絵をお願いして連載をはじめた。」
(『邱飯店のメニュー』)

評判はなかなか良かったようです。
邱さんは最近当時のことを振り返っています。
「編集長の竹森さんが用事があって
吉川英治先生のところへうかがったら、
吉川英治先生が
『僕も中央公論読んでいるけれど、
 どこから読みはじめるか知っている?』
ときかれたそうです。
『どこからですか』
ときいたら、
『黄色いページの西遊記からだよ』
と言われて私は思いもかけず
面目をほどこしたことがあります。
そこで1冊目の単行本が出版された時、
吉川先生に帯の推薦文を書いていただいたことがあります。
もう40年も前のことですから、
いま読んで下さっている読者の中には
その頃まだ生まれていなかった人も多いでしょうね。」
(『いまの時代が読めますか』平成13年に収録)

この作品は5年余の時間をかけて完成に至るという
長期連載ものになりましたが、そうして出来上がった
邱さんの『西遊記』の全作品が、いま
『ほぼ日刊イトイ新聞』掲載されています。
関心のある方は、そちらにアクセスされることをお勧めします。


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2002年10月26日(土)

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