Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第236回
「自分の葬式には好きな歌謡曲と一本の花をお願いしたい」

前回引用した『死に方、辞め方、別れ方』のなかの一節、
「自分の葬式はこうやってほしい」の文章の続きです。

「第三に墓をつくる場合も、『邱永漢之墓』というのがよい。
家族をひっくるめた『邱家之墓』でもかまわないのだが、
何しろ、世の中には好事家というのがいて、
私の墓をわざわざ見に来る人もあるだろう。
そういう人の好奇心を満足させるために、
私の名前がないと困るのである。
(略)
さて坊さんに来てもらわないとすれば、
あとは音をどうするかが一番大問題になる。

第四に、お経や木魚のない葬式だから、
参列者をセンチメンタルにするために
ふだん私の愛唱してきた歌のうちで、
葬式にふさわしいものをテープで流してもらう。

私がかねてから葬式に一番ふさわしい歌と思っているのは、
谷村新司歌うところの『昴』であって、
メロディーはもとよりのこと
『我は行く蒼白き頬のままで』とか
『ああ、いつの日か、誰かがこの道を』
などといった文句は、
如何にも死を象徴するセリフではないか。

私があまりそう言うので、女房は
『心配しないでも、葬式の時には、
ちゃんと谷村さんに歌ってもらうようにしますから』
と冗談を言っているが、
まさか死んだ時だけきてもらうこともできないから、
生きているうちに知り合いになっておきたいと思っている。

谷村さんの歌のなかでは『天狼』というのがもう一曲、
ほかに美空ひばりの『悲しい酒』、『影をしたいて』、
松尾和子の『誰よりも君を愛す』、佐川満男の『無情の夢』、
西田佐知子の『アカシアの雨がやむとき』、『夜が切ない』、
松山恵子の『別れの入場券』、梓みちよの『二人でお酒を』、
越路吹雪の『ラストダンスは私に』、『イカルスの星』
中国の唄では『情人的眼涙』『漁光曲』『何日君再来』『抉擇』、
そして自分が作詞をした『恋のインターチェンジ』
『南国の花』『溺愛』も中に入れてもらうとしようか。

これらをエンドレス・テープでやってもらえば、
参列者が絶えるまで鳴り続けてくれるだろう。
あとは季節の花を一本ずつ棺桶お前にあげてくれれば、
それで私の葬式はおしまいにしてもらいたい」
(自分の葬式はこうやってほしい」
『死に方、辞め方、別れ方』に収録)


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2003年4月20日(日)

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