Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第240回
はじめて株を買う人のための『邱永漢の株入門』

外国投資家が日本の株を買うようになった時代が到来し、
邱さんの日本の株に対する考えに変化が起こりましたが、
ちょうどそのころ、出版社から
株のイロハがわかる本を書いてほしいと頼まれ
昭和58年12月に、ごま書房から『邱永漢の株入門』
発刊されることになりました。

この頃、邱さんは15本の連載を抱えるようになっており、
質問に答える問答形式でならということで出版を承諾し、
刊行にこぎつけたものです。
例によって出版に際しての邱さんの「まえがき」です。

「私はかねがね、株で儲けるコツは
情報を豊富に持っているとか、
景気に対する正確な判断ができているとか、
あるいは、株を買うタイミングに要領をえているとか、
そんなことではないと思っている。
それらのことは、むろん、株式投資に欠かすことのできない
重要なファクターであるが、
一番大切なことはなんといっても、
株に対するそれぞれの人たちの姿勢であろう。

株のカの字も知らなかった私がはじめて株に手を染めたのが
昭和34年で、その年、私は自分の体験を土台に
『婦人公論』誌に『私の株式投資必勝法』を書いた。
続いて、翌年『週刊公論』誌に『会社拝見』を書いた。
昭和34、5年頃は、高度成長というコトバも、
所得倍増というコトバも、まだ誕生していなかったから、
利殖の専門誌以外で株の記事を発見することは困難だった。

私が一流誌に株の話を持ち込んだ時は
あっと驚く人もあれば、強く反論する人もあった。
しかし、私が予想したような株式大衆化の時代は間もなく実現し、
主婦や若い人まで株式を話題にするのは日常茶飯事になった。
私の書いた株に関する文章は
『投資家読本』と題して朝日新聞社から出版され、
当時のベスト・セラーズの仲間入りをした。
のちに私の自選集がでることになると、
徳間書店の編集部は『私の株式投資必勝法』をその中に収録した。

猫の目のように変わる株式相場に関する記事は、
書くかたわら古くなってしまうものであり、
ひどいのになると雑誌に載った時には
既に見当はずれということにも相成る。
それを10何年後になっても、
なお再録に値すると判断されたのは
私が刻々と変化する相場について記述したからでなくて、
その中を流れる人間の一貫した変わらぬ心理や欲望や、
投資の原則にふれたからではないかと思う。
銘柄や株価の位置や経済環境は変わっても、
人間の考えることや行動の動機は
そんなに変わっていないことがわかる。」
『邱永漢の株入門』の「まえがき」)


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2003年4月24日(木)

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