Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第239回
外国投資家が日本の株を買う時代になりました

邱さんは昭和58年の12月に久しぶりに
『邱永漢の株入門』という本を刊行しましが、
この本の誕生の背景の一つとして、
昭和57年10月上旬の日に起こった
突然の株高現象にふれておきましょう。
『株が本命』(昭和63年出版)からの抜粋です。

「昭和57年の確か10月8日であったと思うが、
何の予告もなしに突如株価がダウで
150円あまり上昇したことがあった。
それは穏やかな海に突如として
津波が巻き起こったくらい唐突なことであった。

私は電気ショックでも受けたように
しばらくの間、物も言えなかった。
春の晴れ渡った空に突如、春雷が鳴り響くことがあるが、
それにも似たような啓示を私は受けた。
きっとこれからも予想できなかったような
新しい時代がはじまるに違いない。
そう思って私は私のところに集まってくる友人たちに、
その日の日本経済新聞の相場欄を披露して、
『この欄の中で一日で何十円も何百円もあがった株が
この次の相場欄でリード役をつとめるに違いない』と力説した。

その日の新聞を今でも手元に保存しているが、
たった一日で大幅に暴騰した株が30何銘柄もあって、
なかでも電機株、ファイナンス株工作機械株、
薬品株が値上がりの中心で、食品株の中では
味の素とグリコとキリンビールがその仲間に加わっていた。
『グリコも有望株ですか?』
と聞かれて返事に困った記憶があるが、
間もなくグリコ事件が起こって、グリコは他の株から
それた動きをするようになってしまったが、
他のほとんどの株は見る見る暴騰に暴騰を重ねるようになった。

どうしてそういう動きになったかというと、
日本の経済力の強さが改めて認識されて、
世界の風向きが変わったからである。
それまで、日本の輸出が増え続けるのは、
日本の賃金が安くダンピングをしているからだと
世界中が信じていた。
実際には日本人は生産に秀でていて、
物を安く供給できる能力をもっている、
ということが明瞭になってきた。
そういう日本の輸出構成を非難ばかりしてもおられない。
日本の経済力がそんなに優れているのなら、
日本株を買いにまわる方が手っ取り早いのではないか、
と考える外国の機関投資家がふえてきたとしても不思議ではない。
どうやら外国投資家が日本の株を買う時代になったのである。」
『株が本命』

『株が本命』の本文では10月9日となっていますが、
  以前、図書館に調べに行ったとき
  一日ズレているように思ったのと、
  『株の原則』では10月8日と記述されていますので、
  ここでは10月8日と記述させていただきました(戸田)。


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2003年4月23日(水)

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