Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第244回
「第二の株キチガイ時代」に迎えられた『邱永漢の株入門』

邱さんが「損をしないで株とつきあう法」で
「第二の株キチガイ時代」が到来する
と書いたのは昭和60年のことですが、
その翌年の昭和61年、邱さんが株の話をしたところ、
立錐の余地がないほど聴衆が集まり、
また『邱永漢の株入門』も20万部も読まれるようになったと
『株の本命』(昭和63年)に書かれています。
そうしたことを伝える『株の本命』の中の文章を抜粋しましょう。

「ついこの間、『株式市場新聞』の創立30周年講演に
講師として招ばれて大阪と名古屋で演壇に立った。
私は国内にいる間は
ほとんど毎日のように講演の依頼があるので、
スピーチをするのは別に珍しいことではないが、
証券会社や株の専門紙に頼まれて
株の話をすることはあまりない。
株価のあとを追って今日は高いとか安いとか、
一週間たったらどうなる、
一ヶ月たったらどうなるとといったこまかい話をするのなら、
いくらでも話題があるだろうが、
私が興味を持っているのは、
毎日の波の高低ではなくて
株価を大きく動かしていく潮の流れである。

そういう大きなトレンドの動きは1年、2年、あるいは、
それ以上も長期にわたって変わらないものだから、
同じ相手にそんな話をしたら、たちまち話題がつきてしまう。
だから、相場情報紙の発行人とか、
株式評論家はとても性に合わないという認識もあるし、
日本国中の欲張りを相手に短期的な予想をしたら、
ホールインワンみたいなこともたまには起こるだろうが、
数多く出場しているうちに
打率が悪くなることも経験的に知っている。

その半面、1年か2年にいっぺん起こるような
中期的トレンドに言及したときは、
ほとんど例外なく的中するので、
時々、思い出したように株の話をするていどが
ちょうどいいのである。
しかし、私が書いた『邱永漢の株入門』は
20何万部も売れているし、
めったに証券会社の講演に出ないせいもあって、
たまに講演すると、足の踏み場もないほどお客が集まる。

札止めにしても、裏階段から徒歩で上がってくるし、
廊下はおろか、演壇の上まで座って、
私の立っているうしろを囲んでしまう。
昭和30年代、40年代にもしばしばそういう目にあったが
昨今の財テク・ブームは10年前、20年前の比ではない
ようである。国全体が豊かになり、
国民の大多数の人々の財布の中が温かくなったので、
お金に対する関心が隅々まで行きわたるようになった」
(『株が本命』)


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2003年4月28日(月)

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