パリだけがフランスではありません

第53回
教科書の中だけでない「歴史」

日本の連休前、
中国各地で再び「教科書問題」を発端とした
反日デモが起こりましたが、
当然フランスでも報道されました。
フランスも中国とのビジネスにはかなり力を入れています。
中国の政治、社会の動きにはけっこう敏感です。
といっても直接自国に関わりはないので、
客観的で冷静な分析
(日本は中国や韓国の被害意識を深く受けとめていない面がある。
しかし今回のデモは政治的な意図もなきにしもあらず。
日本も同時に熱くならず、
互いに商売に励んだほうが「利」があるのではないか、と)
に終始していました。

そんななかフランスで暮らしていて、
日本では直接肌に感じることのない「歴史」が
いつも身近にある事に気付いたのです。

たとえば世界史で習った
「ルターの宗教改革」とか「0000年の宗教会議」といった項目。
試験のために覚えたぐらいの記憶だったのに、
ここだとカトリックとプロテスタントの間に起こった
血の通った出来事として語られます。
ローマ法王の存在と選挙もそうです。
歴史の彼方から在り続け、
選挙も繰り返されてきたと思うと奇妙な気がします。
教科書の中だけでない「歴史」。
ちょっと驚きでした。

またフランスで17世紀、18世紀といっても
たいして古い時代と思いません。
建物、家具、生活様式など、
その頃から変わらないものがあちこちにあるからです。

息子の宿題に暗唱すべき詩(寓話)がありました。
なんとそれは17世紀、ルイ14世治下で活躍した代表的詩人、
ジャン・ド・ラ・フォンテーヌJean de La Fontaineの作品でした。
その詩はオリヴィエの両親も彼自身もみんな暗唱していたのです。
彼らから、
フォンテーヌの作品は
ずっとフランス人の考え方の基礎になっていると説明されました。

日本でも中学や高校で「古典」を習いますが、
ごく一般的にここまで現代の生活に密着したものになっているか…
わが身を振り返えると疑問です。

というように、
ここで暮らしていると
過去と現代が途切れることなく続いていると実感します。

フランスも過去を振り返えれば、
立派な行いばかりをしてきたわけではありません。
それは自身がいちばんよく知っているように思います。
なぜなら現代を理解し、未来を考えるため、
常に客観的に歴史を見てもいるからです。


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2005年5月18日(水)

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