パリだけがフランスではありません

第81回
フランスの謎がちょっと解ける本

第74回で久々にパリに上京?した話を書きましたが、
パリにはヴァンヌにはない
あらゆる日本関係のものが揃っています。
その1つ、ピラミッド駅(メトロ)近くに日本の本屋があります。
パリに行ってここをのぞかないと気がすまず、
面白い1冊の新書を見つけました。

タイトルは『フランス7つの謎』(小田中直樹著、文春新書)。
著者の略歴には
「1963年生まれ。現在、東北大学大学院経済学研究科教授。
専攻はフランス社会経済史」
とありました。
彼は1989年のパリ滞在と1991年から1年の留学体験を通し、
実際に感じたフランス社会の不思議を専門知識を駆使して
フランスの歴史を振り返って「なぜ」の解説を試みたわけです。

特に私にとって「目から鱗」だったのは、
「なぜ政教分離をめぐって延々と議論が続くのか」
と題された第1の謎の項で解き明かされたことでした。

ここでも第38回で少々政治と宗教の問題に触れました。
さらに第32回第70回では、
フランス人とはどういう人なのかといったことに触れています。
が、生活を通しての目線で、
専門的に「解説する」という姿勢ではありません。

フランスでは、なぜこれほど政治と宗教の関係がデリケートなのか。
また日本人は「日本人」として
外観内面ともにある意味一種類しか認めないのに対し、
「フランス人」の定義はなぜこれほど緩やかなのか。
フランス語を話し、フランス社会にとけこみ、
彼らのルールを順守する限り
「フランス人になり得る」という寛容さがどうして生まれたのか。
深いところで確かに謎だったのです。
というのは、これを彼らに質問しても
答えはだいたい私と似たような日常レベルだったからです。

それを少々アカデミックに「解説」してくれたのがこの本です。
アメリカとの関係、過激な労働運動やストの謎解きもあります。
興味のある方は開いてみて下さい。
日常レベルの観察も、
けして根拠のない実感のみでないことも発見できました。


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2005年7月22日(金)

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