第75回
なぜ、玄米を「噛む」ことが大切か?
正食(せいしょく)協会の会長である岡田定三さんの
新著「正食生活術」(正食協会・刊)(※1)の話の続きです。
とくに、この本の中の
「かむかむ行(ぎょう)」「正食は自己実現行」と題する
2つのエッセイが、面白かったので、
紹介させて貰います。
これを読めば、玄米を「噛む」ことが、
なぜ、正しい食事法か?
自然の道理に合っているか?
はたまた、長寿達成に欠かせない生き方の基本か?
ということが分かります。
2題を合わせて抜粋紹介させていただきます。
*
●かむかむ行(ぎょう)――
千日回峰行中(注)の修行者をテレビで映していた。
その最後の難関十日間の断食水、
不眠不休の護摩(ごま)たきの行(ぎょう)に
入るところだということだった。こんな超人
的な荒行でなくても、さまざまな行がある。
滝に打たれたり、寒中に座禅したり、
断食したりとむずかしい行がある。
組むには人それぞれに目的があってのことであろうが、
どの行もみなそうとうの決心がいりそうである。
その行に比べると正食行(せいしょくぎょう)はありがたい。
正食での「行(ぎょう)」を強いて挙げれば
玄米を一口百回くらい噛むことである。
食べ物を噛んで食べるということは生理的に必要なことで、
これを行というには当たらない。
しかしながら、いざやってみると、
たやすいことだと思っていたものが実は
そんなに簡単なことでないことが分かる。
難行(なんぎょう)に比べれば
いつも簡単にできそうに思えることが、
なかなか実行できない。
わが身を振り返ってみると、
こんな易行(えきぎょう)すら
ついつおろそかにしていることに気がつく。
難行千日はとうていおぼつかないが、
せめて「かむかむ行」ぐらいは長く続けていきたいものだ。
*
どうですか? 岡田会長を尊敬するのは、
いつも、「食養生法の厳しく理屈に縛られてはいけない」
「自然のままがよい」と教えてくれる人だからです。
この「かむかむ行」というエッセイは、
希望達成・自己実現のヒケツは、
本来、人間として当たり前のことをやることにあり――と
説いているのだと僕は解釈しました。
次に、「正食は自己実現行(ぎょう)」というエッセイが
続きますにで、また、明日、紹介しますが、
「かむかむ行(ぎょう)」と「正食は自己実現行」とは、
ふたつ併せて読むと、
正食=マクロビオティックの真理が分かります。
注・千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)とは、
天台宗比叡山の修行僧が行う「修行」の中で最も厳しい荒行。
7年間のべ1000日間、山の峰々を歩く修行。
※1 http://www.macrobiotic.gr.jp/
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