ガンを切らずに10年延命-関根 進

再開!元週刊ポスト編集長の目からウロコの体験秘話!

第78回
読書=「読むトキメキ」について・2

「読書のトキメキ」の話の続きです。
先日、敬愛する作家の三木卓さんから
「雪の下の夢 わが文学的妄想録」という、
いかにも三木さんらしい、“知の探検エッセイ”集が
送られてきました。

三木さんが、この「あとがき」に書いておられますが、
文学をめぐる知的世界のわかっていそうで
「よくわかっていないことを考える場」が、
この本のポジションだというのです。

「学ぶ」「今の文学」「批評」「「教育」「人為」「書く」
といった項目を掲げ、
三木さんらしく広角度から分析、探求していくのですが、
その中に、もちろん、
「読む」という項目がありました。
次のように書いています。
             
「本を読むことは、依然として楽しい。
かねて知りたいと思っていて知ることが出来なかったことを
ズバッと語ってくれる本に出会うと、
<そういうことだったのか>とか
<やっぱりそうだったのか>と思い、納得する。
そのなっとくには、よろこびが大きいので<では>と
また次の本を読みだすが、
そうそういつも都合よくいくわけではない。(略)」と。

面白そうな書き出しと思いませんか?
そして、物理学、天文学、はては、
経済学の多くの著者の現実との「ぶれ」を指摘しつつ、
最後は、読書の楽しみとは、
読者の知的好奇心を満足させる
「直感」にあり――といっているところに、
僕などは共感(エンパシー)しました。

ちなみに、面白くない本の読書として、
経済書とマスメディアのケースが
挙げられていますが、
なぜ、経済学者の本が現実とぶれるか?
なぜ、最近のテレビや新聞やラジオという
大衆メディアが面白くないか?

三木卓さんは
「疑問を自分がなっとくのいく方向に
発展させてくれる」ものが良い本であり、
この感覚が心のトキメキをもたらしてくれる――
こう指摘しています。

僕などは、昔、メディア世界で飯を食っていたので、
近頃の本や雑誌・新聞は
「世間の後追いのニュースばかり流しているから面白くない」
と、断罪するわけですが、
たしかに、相手を批判するのは簡単です。
しかし、≪自分を納得させる本を探し出すのは自分だ≫――
これが「読むトキメキの」極意なんだと、
改めて、思い知らされました。
やはり、読書とは「自力トキメキ」の醍醐味だと思います。

三木さんの新著「雪の下の夢」を、
ぜひ、読んでみて下さい。


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2010年3月19日(金)

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