第267回
食道ガン――私も「切らずに」生還!
12年前、僕はガン病棟に、
当時としては珍しい軽量のノートパソコンを持ち込んで、
治療の合間に、「ガンを切らずに治そう」と
同時進行の闘病記を初めて書きました。
そのタイトルが
「母はボケ 俺はガン」というタイトルで、
このちょっと衝撃的なタイトルを考えたのが
担当部長のKさんでした。
Kさんは、僕より一回りほどの若い働き盛りのバリバリで、
「ちょっと、エグいタイトルをつけてすみません」と、
はにかんだように
笑った顔をいまでも思い出します。
僕が、58歳で食道ガンを宣告され、
カミサンとおろおろしているとき、
不運にも、老母がいまでいう認知症で入院。
まさに、老老介護、ならぬ
2世代闘病の渦中に曝されたわけで、
この様子をもじって、
Kさんは、タイトルとしては
編集的にはとてもインパクトのあるものを考案したわけです。
さて、それから12年、Kさんとは、
ほとんど会った記憶がないのですが、
この6月に、当然、メールを貰ったのです。
≪ご無沙汰しております。
ますますご活躍の様子でなによりです。
実は1つ相談があります。
最近、食道ガンと宣告され、
がんセンターに入院することになりそうです。
一度、お目にかかりたいのですが。≫
正直言って、びっくりしました。
人間の因果といいますか因縁とは
おかしなものですね。
入院前に、一度、マクロビオティックの
レストランで食事をしながら
僕なりの「食道ガン、切らずに治す選択肢もあるよ」
という話をくわしく説明しました。
もちろん、Kさんは10年以上、
僕の闘病歴を蔭からずっと眺めてきた人ですから、
ガンセンターの外科医に自分の意思をはっきりと伝え、
僕と同じように
「放射線+抗がん剤」の「切らずに延命」の道を
選択したようです。
3か月にわたる長い入院の結果、
次のようなメールが届きました。
≪その後、放射線と化学療法を行い、
昨日、内視鏡検査の結果、
ガンは見事に消えていました。
今月半ばに、さらに5日間、化学療法のため入院して
一応、当初の治療計画は終わります。
手術を回避でき、ほっとしております。
これも関根さんのアドバイスのお陰と感謝しております。
今後は関根さんのように生活改善、
食生活改善に励みたいと思っております。≫
続きはまた明日。
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