第273回
「結ぶ」「抱く」「積む」が幸福を掴むカギ
中国経済繁栄の裏に道教パワーあり?
なぜ中国の道教はパワフルか?
なぜいま、仙人パワーが見直されているのか?
これから知っておきたい
常識破りの 「元気の法則」 ――の話の続きです
いかに道教など東アジアの宗教が
民衆に根強く支持されたか?
幸福願望に密着したか? なぜパワフルか?
ずばり簡明な≪言葉一言≫で僕なりに分類したのが
別掲「各宗教の特徴比較表」です。
異論もあるでしょうが、
これを見れば「結ぶ」「抱く」「積む」
――神道、道教、儒教の動機づけ(motivation)が、
すべてエネルギー生成・創生の言葉によって裏打ちされ、
教義が全体調和的(holistic)に
形成されている特徴が分かるはずです。
「各宗教の特徴比較表」
●神道=結ぶ(むすぶ) ⇒産む⇒産霊 |
●道教=抱く(いだく) ⇒抱擁⇒天人合一 |
●儒教=積む(つむ) ⇒積善⇒繁栄隆盛 |
●仏教=解く(ほどく) ⇒仏(ほとけ)⇒解脱 |
●キリスト教=救う(すくう) ⇒掬う(すくう)⇒救済 |
たとえば「結び」。
古神道で「結ぶ」とは「産霊(=むすび)」に通じ、
天地・万物を生成・創生させる陰陽調和の働きを表します。
また、道教や儒教では
≪積善の家に余慶(幸運)あり、
積不善の家に余殃(よおう=災い)あり≫(易経)、
≪天網恢々(てんもうかいかい)
疏(そ)にして漏らさず≫(老子)とあります。
天は小さな悪事も見逃さない。
天に善徳を積むエネルギーが
「不老長生」「家運隆盛」「子孫繁栄」
の手立てとなるという発想です。
道教では「功過論」といいますが、
仏教の三世因果論の影響でしょう。
道教の特徴たる「抱く」はどうか?
道教の根本原理の教説書が
AD300年頃に出た「抱朴子」(ほうぼくし)です。
著者は仙学研究の第一人者・葛洪(かっこう)。
抱朴子は葛洪の号。
内容は神仙思想や仙人修行法をまとめた内篇と、
政治・社会の在り方を述べた外篇から成り、
「抱朴子」とは自然・素朴を抱く調和のとれた人の意味。
人間は自己の中に天を「抱擁する」=
天・地・人を「抱く」=「天人合一」という
道教の特徴を表していると思います。
この混沌にして不透明な時代では、
連綿として伝えられてきた東洋の思想や宗教の中に
西洋に負けずとらずのパワーが秘められていることを
見直すべきだと、申し上げたいわけです。
えー、いまどき仙人だ、
道教だなんてアナクロもいい加減にしろ
と呆れないでください。
元気長生から福禄寿の達成まで、
「結ぶ」「抱く」「積む」・・・
この≪3つの言葉≫が幸福パワーを生み出すカギ、
ヒントがあると僕は考えています。
(次回に続きます)
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