第285回
改めて、「ストレスとガン」について(1)
ガンの最大の原因は心の病、
つまり、ストレスだ――という説は、
最近、しきりと指摘されています。
この問題については、だいぶまえに、
このコラムでもたっぷりと書いたことがありますが、
問題のポイントを再録しつつ、いま一度、
皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
さて、一口にストレスといっても、
世の中の仕組みが複雑になり、
昨今のように、先行き不透明な時代になればなるほど、
ガンのような難病の「ひきがね」となるようなストレスも
複雑に込み入ってきます。
昔、10年ほど前に、このコラムで
「あなたを襲う人生最大のストレスとは?」と題して、
まず、僕自身の「ガンとストレス」体験談を
次のように書いたことがありましたので、ポイントを再録しつつ、
「ガンとストレス」の関係について再考してみたいと思います。
*
●あなたを襲う人生最大のストレスとは?
僕を襲ったガン・ストレスは
「会社の老い」であり「両親の老い」であり、
まさに長寿社会だから起こる
典型的な軋轢のケースでした。
このいきさつについては
「母はボケ、俺はガン」(日経BP社)という
最初の闘病記に「二世代倒病」という
サブタイトルを掲げて書いたことがあります。
また、最初の予兆となった
勤めていた会社の老幹部たちとのゴタゴタについては、
「サラリーマン大脱走のすすめ」(日経BP社)
という本に書きましたので、
興味のある人はそちらを読んで見てください。
まあ、いまから思い起こせば、
すべて因果応報、自業自得のたぐいの話ですが、
それはともあれ、ガンとは、医学書で書かれている
単純な遺伝病でも、環境病でもありません。
また、なんども強調しているように、
高度経済成長とともに蔓延した、
「食卓汚染」と「食の堕落」といった
悪い生活習慣も、ぐんぐんガン患者を増やした要因となります。
そして、やはり複雑化した
長寿成熟社会のひずみ=不況=ストレスの図式が、
中高年のガンを増幅させているといってよいでしょう。
とくに働き盛りの年代は、命あってのモノ種です。
食の生活設計を見直すライフラインだけでなく、
これからは、心の健康を調整する、
ヒーリング・ネットワークを作っておかなければ、
納得のいく余生が送れなくなってきたようです。
*
そして、僕のコラムでは
次のような有名な統計を上げたことがあります。
アメリカのワシントン大学のトマス・ホームズ(Holmes,T.H)
と共同研究者が、1967年に調査した
「日常のストレスと病気」に関する
有名な研究報告というものです。
拙著「ガンを切らずに10年延命」でも、
少しふれたデータですので覚えている方もいるでしょうが、
これが今の時代に、ますますあたってきているように思います。
(次回に続きます)
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