誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第95回
女の自己愛

わが娘たちを前にして
靖国参拝問題や、歴史教科書問題などを
かいつまんで解説してやるべく話し出したら、
途端に困惑の表情をうかべた。
超カッコいい俳優のA男の話や、
流行の服やダイエットの話なら、
身を乗り出して拝聴してくれるのだろうが、
A級戦犯の合祀がどうしたこうしたなどという話は、
私にはまったく関係ないわねといったふうで、
そういう小難しい問題は男の人たちが考えればいいのよ、
という顔をする。

「女の関心が向くのは自分のことか家族のことだけ。
 それ以外のことにはほとんど関心を示さないね。
 とにかく一に自分、二に自分、三四がなくて五に自分、
 というくらい“自分だけは”という感情が強い」

というのは、新宿のナンパ名人のMから聞いた話だ。
Mには取材で何度か会ったことがある。
見知らぬ女性に声をかけ、
15分でラブホテルに連れ込んでしまうという
凄腕の持ち主なのだが、
どんなふうに声をかけるのかというと、なんのことはない。

「ねえねえ、君、犬と猫とどっちが好き?」
「あのさあ、君ってUFO信じる人?」

みたいな、実にくだらない科白を臆面もなく繰り出していく。
私は呆気にとられたが、
実はこの“軽いノリ”こそがナンパ術の極意なのだという。
もっともこんな幼稚な会話で
あっさりナンパされてしまう女も女なのだが、
そのことはひとまず措く。
Mはさらにこんなことも言った。

「女の子が一番喜ぶ言葉? 
 そうだな、君みたいな子は初めてだ、
 みたいな言葉が一番効くね」

たしかにMのいうように、
女性は心のどこかで自分は他の人とは違うのだと思い込み、
そんな自分に激しい自己愛を感じているふしがある。
だから「君ってほんとに変わってるね」とか
「君みたいなふしぎな人は初めてだよ」といわれると、
もうそれだけで舞い上がり、相手に好意を抱いてしまう。
女にモテたいと思ったら、
「ひたすら聞き役に回れ」というのはそのことをいっている。

それにしても、
女性はどうしてこうも自己愛が強いのだろう。
つまり、自分は愛されるに足る
中身のある人間だってことなのか?
それとも中身がないから、よけい愛しく思うってわけなのか?
ま、どっちへ転んでも、
自分だけが関心の的で、
自分のことが世界で一番好きだってことなのだろう、きっと。


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