「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第7回
基礎編(2)
東南アジアの骨董

骨董世界を見渡してみて、
今一番熱い地域は東南アジアと中国であろう。
三十年ほど前に、僕が東南アジアをうろつきまわった時
そこには限りない広さと、
あちこちに存在する未知なる世界があった。
しかし今地球はせいぜい巨大な都市くらいの感じしかない。
あそこへいけばこんなものがある。
あの街の角のレストランはうまい。
ここは危険だなどと細かい情報がいくらでも入ってくる時代だ。

骨董だって30年前は東南アジアから運んできて説明すると
皆がヘーッとびっくりして言い値で買ってくれたものだ。
「これはね、14世紀に作られたスコータイの鉄絵の作品です。
 タイのラームカームヘン王が中国元の皇帝に使者を送って
 磁州窯から陶工を呼び寄せて作られたものなんです。」
と説明すると何も言わずに買ってくれたものだった。
今はインターネットで同じようなものが
どこかで値段がつけて売られており、
それと比較されるようになってしまった。
このように世界中の情報が瞬時に得られ、
骨董もビジネスとしてのうまみ、
情報の独占によるチャンスがなくなってしまっている。
それだけに社会が成長している地域の骨董を扱っていくことが
とても大切になるだろう。

また東南アジアはその地勢的な関係から
中国やインドのすばらしい文化を吸収し、
さらにヨーロッパの文化をも取り込んで多様な文化を熟成している。
そのためにそこで生み出される作品は
グローバルな評価を得るのに十分な内容を持っている。
ただ、まだ経済的に途上段階にあって我国では評価が低い。
ブランド好きな日本人にはそういう意味で
この地域の作品がぜんぜん見えていない。
しかし、今後この辺りの美術工芸品が
高く評価される時代が来ているのだ。

一例を取るとカンボジアの良い石彫物などは
ガンダーラなどの石彫仏などと比べても遜色のない値段で
クリスティやサザビーズも取引されている。
陶磁器などにおいても15世紀のビルマの緑絵作品などは
皿一枚が数百万の単位で実際に動いている。
インドネシアバティックも
せいぜい19世紀から20世紀初頭の作品であるが
世界でももっとも評価の高い織物である。
タイ、7、8世紀頃のダヴァラヴァティの仏像などは
我国の平安仏と比べても評価は高いも知れない。
インドネシアやフィリピンのプリミティブアートには
欧米のコレクターたちの静かで熱い視線が注がれている。
まだまだ、探し出せば一攫千金をつかむチャンスが転がっている。
海の中、ジャングルの中、河の横、お寺の蔵を
のぞいたらどうだろうか。


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