第155回
出る杭は打たれる?
少し前にTVでフジ子・へミングが、
「世界中のピアニストが私を引きずり降ろそうとしている」
とインタビューに答えていらっしゃいました。
私は、「なるほどなあ」と思いながら観ていました。
音楽に限らず、どの業界でも競争は熾烈です。
「下手だと馬鹿にし、上手いと嫉妬する」
という同業者の人間模様は何処でも変わらないでしょう。
スポーツの世界なら、
「弱ければ馬鹿にし、強ければ嫉妬する」
と言った所でしょうか。
たまに「お上手ですね」と言われて喜んでいる人もいますが、
「嫉妬される程」上手いのが、本物です。
ではその人間模様に嫌気がさし、
人の批判ばかりする人になりたいと思いますか?
人の足ばかり引っ張ることに情熱を使いますか?
先日も自分のクラシックの先生と話していて、
やはりそういった人間に埋もれないために、
「あの音が出したい」「憧れのあの人のように弾きたい」
という純粋な動機が大切だ、という結論に到りました。
でなければ、何を支えに続けることが出来ますか?
スマップの曲で、
「ナンバーワンよりオンリーワン」
とあの樋口廣太郎さんと同じ事を言ったフレーズが
大ヒットしています。
これだけヒットしたということは、
現実は全く反対だということです。
皆ナンバーワンになりたくて仕方がないのです。
そして、足を引っ張り合う。
出る杭は打たれるのです。
もし、オンリーワンになりたい、
ずっと業界に生き残って行きたいという方法を選ぶなら、
もう一度原点に返ってみたらいかがでしょうか。
初めてその会社に入った動機は何でしたか?
会社を辞めて違う業種にトラバーユした時の気持ちは?
きっと本当にナンバーワン、
オンリーワンになる人というのは、
そういう風雪に耐える力を持つコツを知っている人では
ないでしょうか。
人間の実力など、天才以外は殆ど変わらないのです。
少なくとも、人の足を引っ張るような生き方を続けた場合、
美しく年を重ねた顔にはならないでしょう。
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