第169回
日本の女の子の夢
最近NYの留学から帰ってきた友達が言いました。
「日本の若い子達は、魚が死んだような目をしている」
私は日本にどっぷり浸かっているので、
どんな目をしているのか分かりません。
けれど海外から何年かぶりに帰って来ると、
覇気の無さにびっくりする様です。
そう言えば、若い女の子達と話をしていて
「どんな女性になりたい?
どういうことをして生きてゆきたい?」
と言う話題になった時、
「普通で良いんです。
平凡だけど家庭がきちんとしていて子供もいて」
と答える人が多いのに驚きます。
「でも、それは自分達のお母さんが
もう実現しているんじゃない?」
と聞くと、
「そうですねえ。でも、私は母と違った家庭が築きたい。
私の母は料理が苦手なんです。
もっと豊かな家庭と言うんですか、
そういうのを作りたいんですね」
日本の社会が成熟した様子は若い子達からも分かります。
もうこれ以上の成長はないのではないか、
と潜在的に考えているようにも思います。
いくら頑張って働いても、先が見えている、
私達の将来の生活は想像が出来てしまっている、
という所に今の時代の若者の苦しさがあります。
けれど、これから私達は生活の中に
アートを感じるような試みを
ようやく出来るような地盤ができたとも言えます。
一方、上海の女の子達には夢がありました。
「日本の流行の歌が大好き。
絶対、日本に留学して自分の実力を試してみたい。
何故だか分からないけれど、日本が大好き。」
と17歳の女の子が日本語で話していました。
希望に燃えている様子が話しているだけで伝わってきます。
私達はこの女の子が憧れて止まない場所に住んでいる。
けれど、私達には輝かしい夢がない。
「明日は今日よりも幸せになる予感がする」
という希望がないのかも知れません。
もしかしたら、今の時代、
「好きで好きで仕方ない」
ということが一つでもあるということは、
随分と贅沢なことなのかも。
|