杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第172回
インドの結婚持参金事情

最近、TVで衝撃的な映像を見ました。
何気なく、夕方のBSニュースを見た時のことです。
確か、アメリカABCニュースの報道。
全身の90%を包帯で巻かれた女性が横たわっていました。
その女性はなんと義母に石油を掛けられ
焼かれたというのです。
これは、特別な「事件」だと観ていると
何とこの様なことがインドで頻繁に
起こっているというでは有りませんか。
私はあまりのショックでその特集ニュースを見続けました。
彼女は結婚の持参金が少なく、
結婚後もお金を請求され、実家も払えずにいた上、
女の子を産んだために、焼かれたというのです。
実のお父さんがお見舞いに来ていました。
レポーターが警察に届けないのかと聞くと、
あまりにもこの様な事件が多発しており、
警察に届けても何の解決にもならないと答えていました。
TVの報道はこの例だけでなく、
他の花嫁のケースも報道していました。

私は内から込み上げる衝動を抑えきれずに、
その場でインターネットで関連の情報を検索しました。
そこで「花嫁を焼かないで」謝秀麗著 明石出版
という一冊の本を見つけました。
この本の初版が1990年ですので、
もう十年以上も前からインドの社会問題と
なっているにも関わらず、解決がなされていない
という現実はあまりにも残酷です。
この本を読んでみると、インドの持参金問題は
大変根の深い問題で、
インドの何千年の歴史にも起因していることが分かります。
しかも読んでいる内に余りにも悲惨な現実が
書かれており、嗚咽しそうになる程。
男性にとって結婚は
財産を増やすビジネスになっているのです。
本の最後には裁判などを起こした人の明るい兆しなど
書かれていますが、それは全体のほんの一部のことです。

私は日本の今の時代に生まれて、
本当に良かったと感じました。
今世界では大きな戦争が起こっていますが、
こうした小さくて大きい個人の戦争も
別の世界で起こっているのです。
しかも、一度はウエディングドレスを着たい
と思ったことの有る同じ時代を生きている女性が
このような状況に生きているという現実。
まだまだ問題は有るけれど、
日本は女性にとって良い国だと思いませんか?
私は人が生きるということは、
自分の持っている能力を探し、
試してゆくことだと考えています。
そのチャンスが日本にほんの僅かでもあるということは、
小さくて大きな幸せ。


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