杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第174回
貴方だけは、商売気がないと信じていたのに!

上海旅行のツアーには20代半ばの女性と
18歳高校生アルバイトの女の子が付いてきていました。
18歳の高校生は写真係ということで、
写真をぱちぱち撮っていました。
日本が好きで、将来は日本に留学したいと言っています。
ちびまるこちゃんのメモ帖を持ち、
片言の日本語を話しながら私達と会話していました。
日本の音楽が好きということで、
「流行の歌を歌って!」と天真爛漫に聞いてきます。
どうも、中国では日本の流行の歌を日本語で歌う
というのがイケテイルらしいのです。
「浜崎あゆみが好き!」と言われても
私は一曲も歌うことが出来ませんでした。
けれど、商魂逞しい接客に疲れていた私達にとって、
清涼剤のような女の子でした。
「やっぱり、社会人になると擦れちゃうのね」
と思いながら楽しく時間を過ごしていました。
写真を取ってくれていたので、
「幾ら?今からちゃんと払うから」と聞いても、
「気にしないで!あ・と・で!」と可愛い返事。
二日目のツアーが終わり、
「明日は学校があるから今日で来れません」
と言ったときには抱き合って
「またね」などと別れを惜しみました。
三日目の自由行動の日が終わり、
翌日朝早く集合場所に行くと、高校生の彼女も来ていました。
私達は喜びました。
「来てくれたのね。学校は大丈夫なの?」
などと話ながら、上海空港のバスに乗り込みました。

暫くすると、彼女がバックから冊子を数冊取り出しました。
そしてこう言ったのです。
「一枚千円で写真を売ります」
私の映っている写真は6枚と書かれています。
なんと、6千円で写真を買えと言うのです。
私は肩を落としました。
「貴方だけは、商売とは無関係と思っていたのに」
他のツアーメンバーは即座に
「写真は一杯撮ったからいらない」と返しました。
女の子は今にも泣き出しそうです。
「お願い、一枚でもいいから買って!お願い!
私は一枚売って、4元しかもらえない。
お願い、お願い」
彼女が居たおかげで、旅が楽しかったのは事実です。
お人よし日本人の私は、
「6枚で千円だったら買ってあげるよ。まけて」と交渉しました。
しかし、「会社の方針。無理無理。お願い、お願い」
と引きません。
結局、チップのつもりで2枚、2千円で大きな写真を買いました。

「私には商売は出来ない。
中国株を買う位の所で止めておいた方が身のためだわ。」
と自分を知りました。
年齢を重ねるということは、自分に出来ること、
出来ないことを一つ一つ知って行くことでもあるかも。


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