時代の美意識

第49回
肌には感情がある

私の仕事は人の肌に触れる仕事です。
自分の手を使い、お客さまの顔の肌に直接触れる仕事をしていると、
そのお客さまの状態がまさに手に取るようにわかります。
顔の筋肉を触りながらも、
「この筋肉とここの筋肉の間に脂肪の塊がある。
ここをほぐそう」と診断しながらやっていますから、
右と左で状態が違ったり、噛み癖があったりとわかります。
あごのラインを触れば、骨盤がずれているということもわかります。

それだけではありません。
心の内にどれぐらい疲労を抱えていらっしゃるかとか、
夫婦関係がうまくいっていないとか、
ものすごく孤独だという内面的なことも、
手を通してわかってしまいます。
スキンシップという言葉があるように、
肌同士の触れ合いには理屈では何か、
強いて言うなら感情の行き来のようなものがあるのかもしれません。

例えば撮影の特殊メイクでも、俳優さんが好印象をもっていないと、
作ったメイク部分を肌に密着させようとする際、
どうやってもくっつきません。
それぐらい肌には感情があるのです。

こちらの気持ちは手を通してお客さまに伝わり、
お客さまの気持ちも手を通してこちらに伝わってきます。
触る側が緊張していると、
触られたお客さまも緊張を感じてリラックスできません。
「こういう方は苦手。」と思ったら、
その感情はすべて手を通してお客さまに伝わってしまいます。

それだけに、技術や形だけではない、
「絶対に、この方をきれいにする」
という大きい思いが必要なのです。
それは本当に深い思いなのです。

本当に不思議ですが、こちらの精神状態がよくないと、
お客さまをきれいにしてさしあげることはできません。
また、「美しくしてさしあげたい」という強い気持ちがないと、
きれいにしてさしあげることはできません。

私は常にお客さまの顔を触るとき、
「待っててね。絶対にきれいにしてあげるからね。
私に任せてね」と念じながらやっています。
この思いがある限り、お顔を変えられない人はいない。
お客様の悩みを改善する事は、私も一体となり悩みを共有する。
肌と手の間に壁があっては
「気」と言う交換作用が働かなくなります。
すべての仕事は素直と情熱と
宇宙のように懐深い思いだけだと思っております。


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2009年10月27日(火)

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