中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第75回
陶磁器の大きな進歩「釉下彩」

陶磁器が誕生した頃、
つまり土器の頃は単に土をそのまま焼いただけで
装飾性などありませんでした。

しかし、その後人間は焼き物に装飾を考えるようになり、
まずは造形の工夫から始まり、
次に釉薬へと発展していきました。

最初の釉薬は偶然「灰」から生まれましたが、
その後長い年月をかけて、釉薬の技法は進歩を遂げ、
釉薬が焼き物の装飾性を代表するものとなりました。

釉薬の装飾性には二種類あります。
一つは、釉薬そのものが色を持ちその発色に美を感じるもの。
例えば、青磁とか黒釉とか緑釉薬とかです。
唐三彩などの釉薬もその範疇に入ります。
もう一つは、無色透明の釉薬でその焼き物の持つ、
造形や彫り物などをシンプルに表現したものです。

白磁がその典型です。
精製された真っ白な土をそのまま表現する為に
釉薬も透明なガラス質になりました。

そして、その技法の延長に陶磁器の最終的な到達点の一つである
釉下彩技法があります。

釉下彩とは、釉薬の下つまり胎土に顔料で直接文様を描き、
その上から透明の釉薬をかけ焼き上げた陶磁器です。
この技法により、陶磁器は色々な発展をいたしました。

第一に文様が半永久的に消えないという事。
そして、水の浸透性がなくなった事。
そして、装飾性という観点から言えば、
鉱物性の顔料を釉薬で覆って焼く事により、
還元焼成などの化学変化が起こり、
ビックリするような素晴らしい発色の焼き物が誕生したのです。

釉下彩の技法はすでに唐時代に見られましたが、
元時代の青花磁器という分野で完全なものとなりました。

明や清時代の官窯作品の多くは、
この釉下彩磁器を発展させていったものです。
つまり、土に金属を塗り、灰と石で作った釉薬をかけて、
焚き木でガンガン焼くだけで、
写真のように綺麗な釉下彩磁器が出来上がる訳です。

全て、自然の産物なんですね。

釉下彩の代表・青花磁器

真っ白な胎土に酸化コバルトで文様を描き
透明なガラス質の釉薬をかけて
還元焼成するとこのような青色に発色する。
もともとの酸化コバルトの色はドス黒い茶色。

 
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2008年4月2日(水)

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