第98回
ハイハイ天さん、天さんデス
<今回の依頼>
○依頼者
名前 イモッチさん
住所 和歌山県
○依頼品のサイズ
高さ7.5cm、口径27.5cm
○依頼文
依頼品は古代中国のお皿だそうです。
私の祖母が、亡くなった知人の骨董品の一部を譲ってもらった時に
我が家にやってきた物だと聞いています。
たまに料理を盛るのに使用したりしています。
もし博物館級でしたら使うのを辞めて
大切に金庫にでも保管しようかと考えています。
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魚の描き方がいかにも現代的
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後から覗いているのは・・
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灰色の土は昔の磁州窯と同じ土
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本物の磁州窯の作品
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○鑑定結果
残念ながら、博物館クラスの品ではございません。
この品はニセモノ、しかも非常に作為的なニセモノです。
この品は13〜14世紀頃の中国の河北省一帯で広く焼かれた
「磁州窯」の作品を模倣しています。
同じ作風の「磁州窯」の真品の写真も添えておきますので
見比べて下さい。
土は灰色の土で、昔の磁州窯で使われたものと殆ど同じです。
また、下地に白い土(化粧掛けと呼ばれる)を使う手法も
本物と同じでここまでは本物と何ら相違はございません。
では、どうしてニセモノと判断できるか?
これは簡単な話で、皿に描かれた「絵」が全く違うのです。
依頼品の絵は現代画なのです。
現在普通に食器用などとして売られている
中国の磁州窯風の陶磁器に描かれている絵と同一です。
つまり、依頼品は昔の磁州窯の土や作陶手法を真似た上に、
ある程度熟練した現代の絵付け師に
それ風の絵を描かせて作った贋作だという事です。
魚の絵は当時の画風ではないにせよ、
いつも描いて慣れているせいか、
それなりにまとまっています。
しかし、そのまわりの装飾模様などの
ぎこちない筆跡はいただけません。
本物の磁州窯の作品は
大量生産の中で流れるように絵付けを行う事を余儀なくされました。
作為的な筆跡か?日々の仕事の中で生まれた筆跡か?
その辺の違いはある程度の数の品物を見ていれば
自然と分かるようになります。
○結論
作品も作為的ですが、
作品の回りに「プーさん」や「ピカチュー」を微妙に配している所も
なにやら私の性格を意識した作為的なものを感じます。
「作為的」とは必要以上にやり過ぎるという事で、
その行為が逆にニセモノの匂いを際立たせる訳です。
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