第211回
中国料理
今回も「中国古陶磁器に盛って映える料理」
略して、中国料理のコーナーです。
『中国人と日本人の一番の違いは?』と聞かれたならば、
私は「食に対する意識の違い」と答えると思います。
日本では日頃の食事に対してうるさい人は
「食い意地がはっている」とか「食道楽」とか、
あまり良い意味で捉えられません。
それに対して、中国では「吃飯了馬?」(食事は済みましたか?)
という言葉が挨拶として使われていたぐらい
食に対しての関心が高い訳です。
とにかく、食べる事から全てが始まります。
家族や親戚の大切な集まりも、
企業の商談や接待などの大切な席も全て食事と関連し、
同じ食卓を囲む事で互いを理解し、親近感を強めます。
また、外食の機会が非常に多い事も特徴です。
都会に住む中国人にとって
三食とも外食なんて事はザラにあります。
朝食は、近所のお粥屋や点心屋で済ます場合が多いですし、
昼食は社員食堂か会社が自ら経営するレストランで取ります。
また大企業なら社内食堂にバイキング形式の
ケータリングが並ぶ場合もあります。
外に出れば、出来立ておかずの熱々弁当屋もあります。
日本のように冷めた手作り弁当を食べる習慣はありません。
夜は商談や付き合いを兼ねた会食が頻繁にあります。
特に中国では知人に何かを頼まないと
何事も上手く進まない事から、
何かを頼む場合には必ずと言って良い程、食事に招待します。
最近では監視が厳しくなり減りましたが、
国有企業の役員や軍の幹部また役人などは給料が安い分を
接待費としての会食で補っていたような所があります。
そういう独自の食に対する事情により、
中国ではあれだけ多くのレストランが成り立っています。
私は初めて中国に来た時に
「レストランがやけに多いのに、何故どの店も繁盛しているのか?」
とまず疑問に思いましたが、少し暮らすとその理由が分りました。
つまり、中国でレストランが繁盛している理由は、
古くからの食に対する慣習と他の娯楽があまりない事、
そして何よりも他人のお金で食べられる機会が多い事です。
そういう中国の外食産業ですが、
今後どんな展開を見せるのでしょうか?
私は「食の多様化」だと思います。
ここ数年、新しいスタイルの中国料理店やファーストフード、
また専門的な外国料理の店も増えてきていますが、
まだまだ圧倒的にレストランと言えば
伝統的な中国料理店が多いのが現状です。
また、家庭での食事もほぼ100%中国料理です。
中国人もそろそろ中国料理漬けの生活に少し飽きが来ています。
そして今後、更に生活様態が変化していく中で
13億人の食の大変革が必ず起こります。
朝食にパンを食べコーヒーを飲む、
家庭でも洋食などを作るようになる、
会食の機会が減り、外食一辺倒から中食産業にも日が当たる、
良い食材を求める・・などです。
とにかく投資家にとって、
中国人の「食」は今後絶対に外せないテーマでしょう。
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