中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第213回
ハイハイ天さん、天さんデス

○今回の依頼者

ハイ天常連のフリッパーさん、三度目の依頼です。

依頼品1
このような焼き物を「桃花紅」と呼ぶ


依頼品1 底面
最近焼かれたものではない事は分かるが・・


依頼品2
桃花紅として綺麗な焼き上がり


○鑑定結果

依頼の品は、中国で「豇豆紅」
日本では「桃花紅」と呼ばれる
とても人気の高い中国古陶磁器です。

「桃花紅」は清朝康熙帝時代に開発され、
銅を呈色剤とする釉薬の微妙な発色が
とても魅力的な焼き物です。

依頼品には「辰砂」と書かれてありますが、
日本で一般的に「辰砂」と呼ばれる焼き物と
「桃花紅」は別物です。

どちらも銅を呈色剤としていますが、
施釉の仕方や焼成の仕方に違いがあります。

「桃花紅」は釉薬を吹き付ける時にわざとムラをつけたり、
焼成時にわざと窯の中を不安定にし
酸化焼成と還元焼成のバランスを崩す事により、
複雑な発色の焼き上がりになります。

今まで鑑定したフリッパーさんの依頼品全般に言えるのですが、
今回の依頼品も最近焼かれた偽物ではありませんが、
清朝康熙帝時代に焼かれた本物でもない品だと思います。

過去の有名な焼き物を写すという意味での「倣古品」で、
中華民国以降の50年ほどの間に焼かれたものだと推定いたします。

胎土の精製具合があまりよくないので、
民国~新中国辺りの混乱期に
景徳鎮で焼かれた可能性が高いと見ます。

清朝官窯の胎土は完全な純白で依頼品のように
不純物は含まれていません。
(白磁部分に黒い点がいくつも現れているような品は
不合格品として一瞬で割られてしまいます)

しかし、依頼品は「桃花紅」の焼き物として
典型的な美しい焼き上がりです。

鑑賞に値する焼き物だと言えるでしょう。

金銭的な価値的としては、
完全な贋作のように無価値ではありませんが、
あくまでもまだ「骨董品」と呼べる年代のものではないので
そんなに高いものでもありません。

○結論

まず、このようにハッキリとした「官窯品」には
世界的なマーケットプライスが存在します。

売り手の方もそれを知っている訳ですから、
まず自分だけが
あり得ない低価格で買える可能性は殆どありません。

依頼品が本物であれば、確実に数百万円はします。
もし購入価格がその何分の一であれば、
まず本物ではないという事です。

下の二点の桃花紅の焼き物は
中国のオークションに出展されたものです。

まず、大きな違いは胎土の精製具合です。
透き通るような白さです。

落札価格は、共に300万円ほど、
ただし10年以上前の価格ですので
今ならその倍以上はすると思います。

 
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2009年2月18日(水)

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