中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第254回
誰も自分のお金では食べていない 2

前回からの続きです。

今回は、15年程前の中国で何故どのレストランも流行り、
儲かっていたかについて具体的に説明いたします。

簡単に言えば、レストランにいつも客が溢れていたのには
3つの理由があります。

一つは、もともと中国人は『食』への執着が強く、
外食の習慣がある事。

もう一つは、当時すでに改革開放政策により、
ある程度豊かになってきている部分があるのに
娯楽というものが殆どなかった事。

そして何よりも、企業や団体の活動を
円滑に進める為の必要経費として
レストランでの飲食が認められており、
それが習慣となっていた事です。

中国では「ビジネスは宴席から生まれる」
という言葉がありますが、
確かにレストランでの飲食の大半は
接待に関わるものだと言っても過言ではないでしょう。

日本でも一時『官官接待』という言葉が流行りましたが、
当時の中国はまだ殆ど国営企業だったので正にそんな感じです。

とにかく、レストランでの飲食代は
必ずその参加者の中の誰かが
必要経費として落とせるような仕組みになっていた訳です。

ですので、
中国では個人団体関わらず全てのお客さんが領収書を求めます。
そして、その全てのお客さんは
領収書を落とせる先を何とか工面するのです。

そんな事を頭に入れながら、
私のお店のKTV包間(カラオケ付き個室)を覗いていきましょう。

ルームナンバー1、
これはうちのお店の最大のお得意様の軍関係者の宴会ですね。

地方から出てきた軍関係者を接待しているようです。
ここの御代は完全に国の経費として落ちますね。

おやおや、相当高い料理と高いお酒を召し上がっておられます。
毎度、ありがとうございます。


次にルームナンバー2、
これは仲間内での宴会みたいですね。
いくつかの企業の人や役人の方などメンバーはいろいろですね。
今回の支払いは王さんの順番みたいですね。
経費で落とせる機会のある人が
持ち回りで支払いをしているようです。


次にルームナンバー3、
おや、ここはお子様もおられる家族の集まりです。

張さんが、親戚を集めて娘の海外留学を祝っているようです。
前回の集まりは従兄弟の李さんの支払いだったので、
今回は張さんの番です。

もちろん、お金は自分の懐以外から何とかするのでしょう。

少し前の中国では、
『国民消費=飲食』という部分があったと思います。

ある意味、国民全員で税金の一部を飲食代として使い、
国の景気を回していたとも言えます。つまり国策です。
ですので、当時はどのレストランも繁盛するのが
当たり前だったのです。

 
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2009年5月25日(月)

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