中国古陶磁器 そのロマンを求めて-天青庵

単なる美術品ではございません

第256回
高額 中国古陶磁器の紹介

下の何の変哲もない白いポットは、
2002年のクリスティーズオークションに出品されたものです。

正直、こんなポットなど
その辺の中華料理屋で紹興酒を入れて出て来そうですよね。

でも、この落札価格を見て下さい。


11.624.100HKD!!

1HKD15円で計算すれば、何と1億7436万円になります。

しかも、落札予定価格が3000万円から4500万円の品が
1億7436万円まで競り上げられた訳ですから、
この品にはとんでもない秘密が隠されているに違いありません。

この白磁が焼かれたのは明時代の初期「永楽年間」です。
永楽年間に焼かれた白磁は「甜白」と呼ばれ、
そのしっとりとした釉色は
後世の官窯でも模倣できないほどのものでした。

宋時代の定窯が白磁の名窯と呼ばれますが、
永楽の「甜白」はそれを凌駕すると言われました。

また、この磁器には実は表面に文様が掘り込まれているのです。
画像が鮮明ではないので全く見えないと思いますが、
もし画像が相当鮮明でもその文様は見えないほど
浅く細かい繊細なものです。

とにかく、少数ながら残存する永楽白磁の中でも
この品は特別に秀逸な一品だと言えるでしょう。

でも、さすがに2億円近い価格で買う人の気が知れませんよね。
私が推測するに、そういう価格がつく理由はこういう事です。

このような超希少な優品の多くは
有名博物館や著名コレクターが所蔵してしまい
滅多にオークションに出てくることはありません。

そういうものが出てくれば、
世の中の超リッチなコレクターが
必ず自分の物にしようと心に決めます。
そういう人にとっては2000万円も2億円も大差ありません。

そのようなお金持ちが数人いると
オークションでの価格はどんどん吊り上っていきます。
その結果として、予想落札価格を大幅に超える価格での
ハンマープライスが誕生するのです。

ただし、いくら高く買ったからと言っても、
本当のお金持ちにしか買えないような品は
値下がりする事はまずありません。

もし今、この白磁が再度オークションにかけられれば、
次の大金持ち達が確実に
2億円以上で買い上げてくれる事になるでしょう。

世の中そういうものなのです。

 
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2009年5月29日(金)

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