"夜の考え"は昼の行動基準にはならない
私なども平均して八時間はベッドに就いている。むろん、毎晩、必ず八時間寝ているとは限らないし、またベッドの中にいるからといって、ずっと寝ているわけでもない。寝られないために、遅くまで本を読んでいることもあるし、面白いために途中でやめられず、つい明け方まで本を読んでいることもある。また怒り心頭に発して、寝つかれないこともあれば、ウトウトしていたかと思えば、突然、真夜中に目を醒まして、そのまま朝までまばたき一つしないような興奮状態を続けることもある。
夜中に目を醒まして寝られないのは、大抵、仕事のことで思うに任せない時とか、人間関係で頭にきている時とか、あるいは、恋でもしている時である。夜、寝ないと翌日の仕事に支障をきたすから、意識的に寝ようとするが、寝ようと努力すればするほど、目はかえって冴えてくる。しまいにはベッドから這い出してきて、相手にぶっつける手紙を書くようなこともあるが、翌朝、寝呆けまなこでもう一度、読みなおしてみると、全くお話にならないようなことが書いてある。恋をしたことのある人なら、また夜中にラブレターを書いたことのある人なら、身に覚えがあるであろう。
そこで、最近、私が書いた『朝は夜より賢い』(実業之日本社刊)という本の扉に、
「夜考えることは過激すぎるか、悲観的になりがちです。
君よ、考え疲れたら、ベッドに入りなさい。明日から先のことについては、朝になってから考えてもまだ充分、間に合います」
と書いた。夜、考えたことは、朝になって考えなおしてみると、ほとんど実用にならないことばかりである。何度もそういう体験をくりかえしてきたので、少しばかり賢くなって、夜、寝られない思いをした時には、無理矢理寝ようなどとは考えないで、スタンドの灯をつけて、枕元にある読みかけの本を手にとることにした。
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